- 2025年10月9日
【2025年版】新型コロナの症状を内科医が解説|喉の痛み・発熱の見分け方と対処法

こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長の田邉弦です。2025年10月現在、新型コロナウイルス感染症は依然として私たちの生活に影響を及ぼしています。少しずつインフルエンザも検出されるようになってきましたが、コロナウイルス感染症の人も同数程度いるという印象です。「最近喉が痛いけれど、これはコロナなの?」「家族が発熱したけれど、どう対処すればいいの?」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、内科専門医の視点から、現在流行している新型コロナの症状について、最新の医学的知見を交えながら、わかりやすく解説いたします。皆様の不安を少しでも和らげ、適切な対応のお役に立てれば幸いです。
目次

1. 2025年に流行している新型コロナの特徴
現在の主流変異株
2025年10月現在、日本国内ではNB.1.8.1系統(通称:ニンバス株)とその子孫株であるPQ.2などが主流となっています。これらはオミクロン株から派生した変異株で、感染力が従来株よりも高いことが確認されています。
感染状況について
厚生労働省の定点観測によると、2025年夏以降も感染者数は増加傾向にあります。特に季節の変わり目である秋口は、体調を崩しやすい時期でもあるため、引き続き注意が必要です。
ただし、重症化率については従来の流行期と比較して低い水準で推移しており、適切な対応をすることで多くの方が回復されています。

2. 新型コロナの主な症状
新型コロナの症状は、変異株によって特徴が変化してきました。2025年現在の症状について、実際の診療経験を踏まえてご説明します。
最も多い症状
喉の痛み(約7割)
現在最も多く訴えられる症状が喉の痛みです。特にニンバス株では、「剃刀を飲み込んだような」「ガラスの破片が喉に刺さっているような」と表現されるほど、強い痛みを感じる方がいらっしゃいます。
唾を飲み込むのも辛い、水を飲むだけで痛いといった症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。
咳や痰(約7割)
喉の痛みに続いて多いのが、咳や痰の症状です。乾いた咳から始まり、徐々に痰を伴う咳に変化することが一般的です。
夜間に咳が悪化して眠れない、という訴えも少なくありません。咳が長引く場合は、肺炎などの合併症の可能性もありますので、医師の診察を受けることが大切です。
発熱(約6割)
38度以上の発熱を経験される方が多くいらっしゃいます。ただし、37度台の微熱で済む方や、まったく発熱しない方もおり、個人差が大きいのが特徴です。
発熱は通常3‐4日程度続き、その後徐々に下がっていくことが多いです。

その他の症状
倦怠感・全身のだるさ
「体が鉛のように重い」「起き上がるのも辛い」といった強い倦怠感を訴える方が多くいらっしゃいます。この症状は回復後も数週間続くことがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
頭痛
拍動するような頭痛、締め付けられるような頭痛など、様々なタイプの頭痛が報告されています。通常の頭痛薬で軽減することもありますが、強い痛みが続く場合は医療機関を受診してください。
関節痛・筋肉痛
「節々が痛い」「体中が痛い」といった症状を訴える方もいらっしゃいます。インフルエンザほど顕著ではありませんが、約2割の方に認められます。
鼻水・鼻づまり
風邪のような鼻症状も現れることがあります。ただし、これだけでは新型コロナと判断することは難しく、他の症状との組み合わせで判断することが重要です。
消化器症状
吐き気、下痢、腹痛などの消化器症状が出現することもあります。特に下痢は数日間続くこともあり、脱水に注意が必要です。
味覚・嗅覚障害
初期のコロナ感染では特徴的な症状でしたが、現在の変異株では非常に少なくなっています。ただし、完全になくなったわけではなく、一部の方には依然として認められます。

3. 風邪やインフルエンザとの見分け方
「この症状は新型コロナなのか、それとも普通の風邪なのか」という疑問は、多くの方が抱かれます。
症状の特徴による比較
新型コロナの特徴
- 強い喉の痛み(特に2025年の流行株)
- 症状が比較的緩やかに進行する
- 倦怠感が強く、長く続く傾向がある
- 息苦しさを感じることがある
普通の風邪の特徴
- 鼻水、くしゃみが主体
- 喉の痛みは比較的軽度
- 通常3〜4日で改善する
- 全身症状は軽い
インフルエンザの特徴
- 急激な高熱(38度以上)
- 強い関節痛、筋肉痛
- 悪寒、寒気が強い
- 急激に症状が悪化する
見分け方のポイント
実際には症状だけで確実に見分けることは困難です。以下のような場合は、検査を受けることをお勧めします。
- 家族や職場で感染者が出ている
- 38度以上の発熱がある
- 強い喉の痛みがある
- 息苦しさを感じる
先日インフルエンザの記事も作成しましたので、インフルエンザの詳細は「【2025年最新】インフルエンザ流行の基礎知識と対策法|松戸市の内科専門医が解説」をご覧ください。

4. 症状が出たときの対処法
初期対応
症状が出始めたら、まず以下の対応を心がけてください。
自宅での安静
無理をせず、十分な休養や睡眠を取ることが最も重要です。仕事や学校は休み、体力の回復に努めましょう。
水分補給
発熱や下痢により脱水になりやすいため、こまめな水分補給が大切です。経口補水液などが推奨されます。
市販薬の使用
解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)で症状を和らげることができます。ただし、用法用量を守り、症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。
医療機関を受診すべきタイミング
以下の症状がある場合は、速やかに医療機関にご相談ください。
- 呼吸が苦しい、息切れがする
- 顔色が明らかに悪い
- 唇が紫色になっている
- 意識がもうろうとしている
- 水分が取れず、尿が半日以上出ていない
- 高熱が3日以上続いている
- 症状が急激に悪化している
特に高齢の方や、糖尿病、高血圧、心臓病などの基礎疾患をお持ちの方は、早めの受診をお勧めします。症状や基礎疾患に応じて抗ウイルス薬の使用も検討いたします。

家族への感染を防ぐために
隔離の実施
可能であれば、個室で過ごすことが望ましいです。難しい場合は、家族との距離を2メートル以上保つよう心がけてください。
マスクの着用
家族と接する際は、必ずマスクを着用しましょう。
換気の徹底
1時間に1回、5〜10分程度の換気を行ってください。
手洗いの励行
トイレの後、食事の前など、こまめに手を洗いましょう。

5. 予防法と日常生活での注意点
基本的な予防対策
手洗い・手指消毒
外出から帰ったとき、食事の前、トイレの後など、こまめに手を洗うことが最も基本的で効果的な予防法です。石鹸を使って30秒程度、丁寧に洗いましょう。
換気
密閉された空間は感染リスクが高まります。定期的に窓を開けて換気することで、空気中のウイルス量を減らすことができます。
適度な距離の保持
人混みでは、可能な限り他者との距離を保つことが推奨されます。
マスクの活用
混雑した場所や、体調が優れないときにマスクを着用することで、感染リスクを低減できます。
ワクチン接種について
新型コロナワクチンは、重症化を防ぐ効果が確認されています。特に以下の方には接種が推奨されています。
- 65歳以上の高齢者
- 基礎疾患のある方
- 医療従事者
- 高齢者施設等の従事者
当院でも高齢者のコロナワクチンの定期接種を開始しましたので、是非お問い合わせください。
免疫力を高める生活習慣
十分な睡眠
睡眠不足は免疫力の低下につながります。1日7〜8時間の睡眠を心がけましょう。
バランスの取れた食事
ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂取しましょう。
適度な運動
ウォーキングなど、無理のない範囲での運動は免疫力を高めます。
ストレス管理
過度なストレスは免疫機能を低下させます。趣味やリラックスできる時間を持つことが大切です。

6. よくある質問(Q&A)
Q1. 潜伏期間はどれくらいですか?
A. 現在の変異株では、感染から発症までの潜伏期間は2〜7日が一般的で、平均3〜4日程度です。ただし、個人差があり、高齢者では若干長くなるとの報告もあります。
Q2. 症状が軽い場合でも他人にうつりますか?
A. はい、症状が軽い場合や、症状が出る前の段階でも、ウイルスを排出して他人に感染させる可能性があります。そのため、少しでも体調に異変を感じたら、人との接触を控えることが重要です。
Q3. 発症してから何日間、隔離が必要ですか?
A. 厚生労働省の指針では、発症日を0日として5日間の隔離が推奨されています。ただし、5日経過後も感染力が残っている可能性があるため、症状が改善するまでは注意が必要です。
Q4. 一度かかったら、再感染しませんか?
A. 残念ながら、一度感染しても再感染する可能性があります。ウイルスの変異により、以前の感染で得た免疫が十分に働かないことがあるためです。再感染予防のためにも、基本的な感染対策は継続することが大切です。
Q5. 後遺症が心配です。どのような症状がありますか?
A. 新型コロナの後遺症(罹患後症状)として、倦怠感、咳、息切れ、頭痛、集中力の低下、睡眠障害などが報告されています。症状が長引く場合は、医療機関にご相談ください。
Q6. 市販の検査キットで陽性でした。病院に行くべきですか?
A. 症状が軽く、基礎疾患がない場合は、自宅療養で対応できることもあります。ただし、38度以上の発熱が続く場合、息苦しさがある場合、高齢の方や基礎疾患のある方は、医療機関を受診することをお勧めします。
Q7. 子どもの症状で注意すべき点はありますか?
A. 子どもは症状が軽いことが多いですが、急な高熱、呼吸の速さ、機嫌が悪い、水分が取れないなどの症状がある場合は、早めに小児科を受診してください。

7. まとめ
新型コロナウイルス感染症は、2025年10月現在も私たちの生活と密接に関わっています。現在流行しているNB.1.8.1株(ニンバス株)では、特に強い喉の痛みが特徴的です。
覚えておいていただきたい重要なポイント
- 主な症状:喉の痛み、咳、発熱、倦怠感が代表的な症状です
- 症状だけでの判断は困難:確実な診断には検査が必要です
- 早期対応が大切:症状が出たら早めに対応し、必要に応じて医療機関を受診しましょう
- 基本的な予防対策の継続:手洗い、換気、適度な距離の保持が重要です
- 体調管理の徹底:十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動で免疫力を高めましょう
新型コロナは「終わった病気」ではありません。しかし、適切な知識と対応により、多くの方が回復されています。過度に恐れる必要はありませんが、油断せず、基本的な感染対策を続けることが大切です。
気になる症状がある場合、不安なことがある場合は、遠慮なく当院にご相談ください。皆様が健やかな日々を過ごせますよう、尽力いたします。
参考文献
執筆者プロフィール

田邉弦
丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長
- 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
- 日本内科学会 JMECCインストラクター
- 日本救急医学会 ICLSインストラクター
- 認知症サポート医
インタビュー記事はこちらからご覧ください。