- 2025年3月13日
【糖尿病専門医解説】糖尿病の人が食べてはいけないものランキング!!
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病の田邉優希です。今回は、私の考える糖尿病の人が食べてはいけないランキングを紹介したいと思います。是非ご覧ください。

糖尿病と診断されると、「何を食べていいのか」「何を避けるべきか」という疑問が生じます。私は糖尿病専門医として、日々多くの患者さんから食事についての相談を受けています。本記事では、糖尿病の方が特に注意すべき食品をランキング形式で紹介し、その理由や代替食品についても詳しく解説します。
適切な食事管理は糖尿病治療の基本であり、血糖値のコントロールに直結します。しかし、「すべてを我慢しなければならない」というわけではありません。知識を身につけ、賢く食事を選ぶことで、美味しく楽しい食生活を続けながら血糖管理をしていきましょう。
目次
- 糖尿病と食事の関係:基本を理解しよう
- 【第1位】糖分の多い清涼飲料水
- 【第2位】菓子パンやケーキなどの甘い焼き菓子
- 【第3位】ドライフルーツやフルーツ缶詰
- 【第4位】甘い朝食シリアル
- 【第5位】インスタント食品・加工食品
- 糖尿病患者さんの食事:基本的な考え方
- 積極的に摂りたい食品
- まとめ:賢い食事選択で糖尿病と上手に付き合う

糖尿病と食事の関係:基本を理解しよう
糖尿病の食事療法について考える前に、まずは糖尿病と食事の関係性について理解しましょう。
食後の血糖値上昇メカニズム
私たちが食事をすると、食べ物に含まれる炭水化物は消化されてブドウ糖となり、血液中に吸収されます。健康な人の体では、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンがブドウ糖を細胞内に取り込む手助けをします。
糖尿病の方は、このインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの働きが悪かったりするため、食後に血糖値が急上昇しやすくなります。特に糖質(炭水化物)を多く含む食品を摂取すると、血糖値が急激に上がりやすいのです。
何を「避けるべき」と考えるか
「避けるべき食品」というと完全に禁止するように聞こえますが、実際には「控えめにすべき」「摂取量や頻度に注意すべき」食品と考えるとよいでしょう。食品そのものが悪いわけではなく、量や組み合わせ、食べるタイミングが重要です。
それでは、糖尿病の方が特に注意すべき食品ランキングを見ていきましょう。

【第1位】糖分の多い清涼飲料水
糖尿病患者さんが最も注意すべき食品の第1位は、糖分たっぷりの清涼飲料水です。
なぜ危険なのか
清涼飲料水には驚くほど多くの糖分が含まれています。500mlのコーラには約50g(角砂糖約13個分)の糖分が含まれており、これを飲むと血糖値が急上昇します。さらに、液体の糖分は固形物よりも速やかに吸収されるため、血糖値の上昇スピードが非常に速いのが特徴です。
また、清涼飲料水は「飲み物」という認識から、食事制限中でも無意識に摂取しがちです。カロリーや糖分を摂取しているという感覚が薄れやすく、知らず知らずのうちに大量の糖分を摂取してしまう危険性があります。
またスポーツドリンクやエナジードリンクも同様です。体によさそうなイメージがありますが糖分の含有量が多く注意が必要です。
代替となる飲み物
- 水やミネラルウォーター
- 無糖の緑茶やウーロン茶
- 炭酸水(無糖のもの)
臨床現場からのアドバイス
当院の患者さんで、毎日500mlのジュースを飲む習慣があった方がいました。この習慣をやめるだけで、HbA1c(過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標)が0.8%も改善した例があります。飲み物の見直しは、最も効果が出やすい改善ポイントの一つです。

【第2位】菓子パンやケーキなどの甘い焼き菓子
第2位は、菓子パンやケーキ、ドーナツなどの甘い焼き菓子類です。
なぜ危険なのか
これらの食品は糖質(小麦粉)と脂質と砂糖の「トリプルパンチ」となります。高糖質で高カロリーであるため、血糖値の上昇だけでなく、体重増加も招きやすくなります。体重増加はインスリン抵抗性を高め、糖尿病をさらに悪化させる要因となります。
また、これらの食品は「ちょっとした間食」として気軽に食べられがちですが、実は想像以上に多くの糖質と脂質を含んでいます。一般的なメロンパン1個には約40gの炭水化物と約15gの脂質が含まれています。
代替となるおやつ
- ナッツ類(無塩または薄塩のもの、量に注意)
- 低糖質のプロテインバー
- 少量の果物(リンゴ1/4個、イチゴ数粒など)
- 砂糖不使用のヨーグルト
臨床現場からのアドバイス
患者さんの中には「甘いものを完全に断つのは難しい」という方も多くいらっしゃいます。そんな時は、「週に1回、特別な日の楽しみとして少量だけ」というルールを設けるのも一つの方法です。毎日や習慣的に食べないことが大切です。

【第3位】ドライフルーツやフルーツ缶詰
第3位はドライフルーツやシロップ漬けのフルーツ缶詰です。
なぜ危険なのか
ドライフルーツは水分が抜かれて果糖が濃縮されているため、少量でも多くの糖分を摂取することになります。また、市販のドライフルーツには砂糖が追加されていることも多く、さらに糖分量が増加します。
フルーツ缶詰も同様に、シロップ液に砂糖が多量に含まれているため、血糖値を急上昇させる原因となります。
代替となる食品
- 生の果物(適量を食べる)
- 無糖のヨーグルト
- 水煮タイプの缶詰果物(シロップではないもの)
- ナッツ類(無塩または薄塩のもの)
臨床現場からのアドバイス
果物は糖分を含みますが、ビタミンや食物繊維など有益な栄養素も豊富です。完全に避けるのではなく、生の果物を適量(1日に片手のひら1杯程度)食べることをお勧めします。特に食後のデザートとして少量摂取すれば、単体で食べるよりも血糖値の上昇を抑えられます。

【第4位】甘い朝食シリアル
第4位は甘い朝食シリアルです。「健康的」というイメージがある食品ですが、実際には注意が必要です。
なぜ危険なのか
市販の朝食シリアルの多くは、精製された穀物に大量の砂糖が添加されています。「全粒粉使用」と表示されていても、砂糖や蜂蜜などの甘味料が多く含まれていることがあります。1食分(約50g)のシリアルに15〜20gもの糖分が含まれている製品も珍しくありません。
朝食は1日の始まりであり、この時間帯に血糖値を急上昇させると、その後の血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性があります。
代替となる朝食
- プレーンヨーグルトに少量のナッツや果物をトッピング
- 卵料理と野菜
- オートミール(無糖で、トッピングも控えめに)
臨床現場からのアドバイス
「グラノーラ」や「ミューズリー」なども、健康的なイメージがありますが、実際には砂糖や蜂蜜、ドライフルーツなどで甘く味付けされていることが多いです。購入する際は必ず栄養成分表示を確認し、糖質量の少ないものを選びましょう。

【第5位】インスタント食品・加工食品
第5位はインスタント食品や加工食品です。
なぜ危険なのか
インスタント食品や加工食品には、以下のような問題点があります。
- 高い糖質含有量(特に調味料やソース)
- 高い塩分含有量(高血圧のリスク)
- トランス脂肪酸など不健康な脂質の含有
- 食物繊維や栄養素の不足
例えば、カップラーメン1食には約60gの炭水化物と5g以上の塩分が含まれていることがあります。これは高血圧の方の1日の塩分摂取推奨量に相当します。また、レトルトカレーやパスタソースには、予想以上の砂糖が含まれていることも多いです。
代替となる食品
- 冷凍野菜を活用した簡単調理
- サラダチキンなどの低糖質な即席食品
- 低糖質・低塩分と表示された加工食品
臨床現場からのアドバイス
忙しい現代人にとって、加工食品をゼロにするのは現実的ではありません。大切なのは栄養成分表示を確認する習慣をつけ、糖質や塩分の低いものを選ぶことです。

糖尿病患者さんの食事:基本的な考え方
ここまで「食べてはいけないもの」を紹介してきましたが、糖尿病の食事療法は「禁止」ではなく「コントロール」が基本です。以下に大切なポイントをまとめます。
完全禁止ではなく量と頻度の管理を
糖尿病だからと言って、好きな食べ物をすべて諦める必要はありません。大切なのは、血糖値に影響の大きい食品の量と食べる頻度をコントロールすることです。特別な日に少量だけ楽しむなど、メリハリをつけた食生活を心がけましょう。
食べる順番の工夫
同じ食事内容でも、食べる順番を変えるだけで食後の血糖上昇を抑えることができます。「野菜→タンパク質(肉・魚・豆腐など)→炭水化物(ご飯・麺類など)」の順に食べると、炭水化物の吸収が緩やかになります。
バランスのよい食事を心がける
血糖値を管理するためには、以下のような栄養素バランスを意識しましょう。
- 炭水化物:適量に抑える(全体の40〜50%程度)
- タンパク質:十分に摂取(全体の20〜30%程度)
- 脂質:質にこだわる(不飽和脂肪酸を中心に全体の20〜25%程度)
- 食物繊維:積極的に摂取(野菜、海藻、きのこ、全粒穀物など)
個人差を理解する
同じ食品でも、血糖値の上がり方には個人差があります。自分の体に合った食事内容を見つけるために、食後の血糖値測定を行うと良いでしょう。自己測定器をお持ちの方は、気になる食品を食べた後に測定してみると、自分の体の反応がわかります。
積極的に摂りたい食品
ここまで避けるべき食品を紹介してきましたが、最後に糖尿病の方が積極的に摂りたい食品をご紹介します。
野菜(特に緑黄色野菜)
食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を緩やかにします。また、ビタミンやミネラルも豊富で、糖尿病の合併症予防にも役立ちます。1日350g以上の摂取を目標にしましょう。
良質なタンパク質
肉の脂身の少ない部分、魚(特に青魚)、豆腐や納豆などの大豆製品は、血糖値を上げにくく、満腹感を持続させる効果があります。
食物繊維が豊富な食品
海藻類、きのこ類、こんにゃくなどは食物繊維が豊富で、糖の吸収を緩やかにします。また、腸内環境を整える効果もあります。
オメガ3系脂肪酸を含む食品
青魚(サバ、サンマ、イワシなど)、亜麻仁油、えごま油などに含まれるオメガ3系脂肪酸は、血管を保護し、インスリン感受性を高める効果が期待できます。

まとめ:賢い食事選択で糖尿病と上手に付き合う
糖尿病の食事療法は、「我慢」や「禁止」ではなく、「賢い選択」が大切です。完璧を目指すのではなく、80%の実行を継続することが、長期的な血糖コントロールにつながります。ほか適度な運動や十分な睡眠、ストレス管理なども、糖尿病管理に重要な要素です。
糖尿病は一人ひとりのライフスタイルに合った管理方法を見つけることが大切です。お困りの際はぜひ当院までご相談ください。