• 2026年1月6日

腎臓を守る食べ物の選び方|腎機能を保つための食事のポイントと注意点

こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉優希です。今回は私が専門とする糖尿病とも関連が深い腎臓の話です。

腎臓は私たちの体にとって非常に重要な臓器です。しかし、日々の食生活が腎臓に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。「最近、健康診断で腎機能の数値を指摘された」「腎臓に良い食べ物を知りたい」そのようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、内科専門医の立場から、腎臓の健康を守るための食べ物の選び方について、わかりやすく解説いたします。腎臓に優しい食事を心がけることで、将来的な腎機能の低下を予防し、健康的な生活を送ることができます。

目次

  1. 腎臓の働きと食べ物の関係
  2. 腎臓に良い食べ物とその特徴
  3. 腎臓に負担をかける食べ物
  4. 腎機能低下時の食事の注意点
  5. よくある質問(Q&A
  6. まとめ

腎臓の働きと食べ物の関係

腎臓の主な役割

腎臓は握りこぶし程度の大きさの臓器で、左右に一つずつあります。腎臓の主な働きは以下の通りです。

老廃物の排泄:私たちが食べた食べ物は体内で利用された後、老廃物となります。腎臓はこの老廃物を尿として体外に排出する重要な役割を担っています。

体内の水分バランスの調整:体内の水分量や電解質(ナトリウム、カリウムなど)のバランスを適切に保つことで、血圧の調整や体の機能を正常に維持しています。

血液の浄化:腎臓は1日に約150リットルもの血液をろ過しています。この働きにより、体内の環境を一定に保つことができます。

食べ物が腎臓に与える影響

食べ物に含まれる栄養素の中には、腎臓の働きを助けるものもあれば、過剰に摂取すると腎臓に負担をかけるものもあります。特に以下の成分が腎臓に影響を与えます。

  • たんぱく質:適量は必要ですが、過剰摂取は腎臓の負担となります
  • 塩分(ナトリウム):摂りすぎると血圧上昇や腎臓への負担が増加します
  • カリウム:腎機能が低下している場合は制限が必要になることがあります
  • リン:過剰摂取は腎臓に負担をかけます

腎臓に良い食べ物とその特徴

野菜類

キャベツ:キャベツは低カリウムで、ビタミンCや食物繊維が豊富です。生でも加熱してもおいしく食べられ、腎臓に優しい野菜の代表格です。千切りにしてサラダにしたり、炒め物やスープに入れたりと、調理方法も多様です。

大根:大根は水分が多く、カリウム含有量も比較的少ないため、腎臓への負担が少ない食材です。消化酵素も含まれており、胃腸の働きも助けてくれます。

もやし:もやしは低カロリーで栄養バランスが良く、カリウムも控えめです。価格も手頃で毎日の食事に取り入れやすい食材と言えます。

果物類

りんご:りんごは比較的カリウムが少なく、食物繊維やポリフェノールが含まれています。ただし、果物は糖分も含まれているため、適量(1日100g程度)を心がけることが大切です。

:梨も水分が多く、カリウム含有量が控えめな果物です。特に暑い季節の水分補給にも適しています。

穀物類

白米:白米は主食として適しており、たんぱく質含有量も玄米と比べて少なめです。ただし、食べ過ぎには注意が必要です。

良質な油脂類

オリーブオイル:オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸は、血管の健康を保ち、腎臓への血流を良好に保つ効果が期待されます。ただし、高カロリーですので使用量には注意が必要です。

腎臓に負担をかける食べ物

塩分の多い食べ物

加工食品:ハム、ソーセージ、かまぼこなどの加工食品には、保存や味付けのために多くの塩分が含まれています。1日の塩分摂取量は6g未満が推奨されていますが、これらの食品を頻繁に摂取すると簡単に超えてしまいます。

インスタント食品:カップ麺やインスタントスープには、1食で1日の塩分摂取目標量に近い量が含まれていることもあります。便利ではありますが、頻繁な摂取は控えることが賢明です。

漬物や佃煮:日本の伝統的な食品ですが、塩分含有量が高いため、少量に留めることが大切です。

たんぱく質の多い食べ物(過剰摂取に注意)

肉類の食べ過ぎ:たんぱく質は体を作る大切な栄養素ですが、腎機能が低下している場合は、過剰なたんぱく質が腎臓に負担をかけます。1日の適正量は、体重1kgあたり0.8〜1.0g程度とされています。

カリウムの多い食べ物(腎機能低下時は注意)

バナナ、アボカド:これらの果物は栄養価が高い一方で、カリウム含有量も多めです。腎機能が正常な方は問題ありませんが、腎機能が低下している方は摂取量に注意が必要です。

ほうれん草、トマト:野菜の中でもカリウムが多い食材です。腎機能低下がある場合は、茹でこぼしてカリウムを減らす調理法が推奨されます。

リンの多い食べ物

加工食品の食品添加物:多くの加工食品には、リン酸塩が添加物として含まれています。これらは体内への吸収率が高く、腎臓への負担となります。

清涼飲料水:コーラなどの清涼飲料水にもリン酸が含まれていることが多く、日常的な摂取は控えることが望ましいです。

腎機能低下時の食事の注意点

たんぱく質の調整

腎機能が低下している場合、医師や管理栄養士の指導のもと、たんぱく質の摂取量を調整することが重要です。一般的に、腎機能の程度に応じて、体重1kgあたり0.6〜0.8g程度に制限することが推奨される場合があります。

ただし、たんぱく質を極端に制限すると栄養不足になる恐れがあるため、必ず専門家の指導を受けることが大切です。

塩分制限の実践方法

調味料の工夫:塩の代わりに、レモン汁、酢、香辛料、香味野菜(しょうが、にんにく、ねぎなど)を使うことで、塩分を減らしても満足感のある味付けが可能です。

減塩調味料の活用:減塩醤油や減塩味噌を使用することも有効です。ただし、「減塩」でも塩分はゼロではないため、使用量には注意が必要です。

外食時の注意:外食では塩分が多くなりがちです。汁物は残す、ドレッシングは別添えにしてもらうなどの工夫が効果的です。

カリウム制限が必要な場合

腎機能が低下すると、カリウムの排泄がうまくいかず、高カリウム血症のリスクが高まります。この場合、以下の調理法が推奨されます。

野菜の下処理:野菜は小さく切って水にさらしたり、茹でこぼしたりすることでカリウムを減らすことができます。ただし、水溶性のビタミンも流出するため、バランスを考えることが大切です。

果物の選択:カリウムの少ない果物(りんご、梨など)を選び、カリウムの多い果物(バナナ、キウイ、メロンなど)は控えめにします。

水分管理

腎機能の程度によっては、水分制限が必要になることもあります。むくみや体重増加がある場合は、医師に相談して適切な水分摂取量を確認することが重要です。

よくある質問(Q&A)

Q1: 腎臓に良い食事は腎機能が正常な人にも必要ですか?

A: はい、腎機能が正常な方でも、腎臓に優しい食生活を心がけることは予防として大切です。特に塩分の摂りすぎは高血圧や腎機能低下のリスクを高めるため、誰にとってもバランスの良い食事が推奨されます。ただし、過度な制限は必要ありません。

Q2: プロテインやサプリメントは腎臓に悪いですか?

A: 腎機能が正常な方が適量のプロテインを摂取することは、通常問題ありません。しかし、過剰なたんぱく質摂取は腎臓に負担をかける可能性があります。特に腎機能に不安がある方や高齢の方は、摂取前に医師に相談されることをお勧めします。

Q3: 1日の水分摂取量はどのくらいが適切ですか?

A: 腎機能が正常な方は、1日1.5〜2リットル程度が目安とされています。ただし、腎機能が低下している場合や心臓に疾患がある場合は、医師の指示に従って水分量を調整する必要があります。季節や活動量によっても変わりますので、体調を見ながら調整することが大切です。

Q4: 腎機能を改善する食べ物はありますか?

A: 残念ながら、一度低下した腎機能を劇的に改善する食べ物はありません。しかし、腎臓に負担をかけない食生活を続けることで、腎機能の低下を遅らせることは可能です。早期発見と適切な食事管理が重要です。

Q5: 健康診断でクレアチニンの数値を指摘されました。すぐに食事制限が必要ですか?

A: クレアチニンの数値だけでなく、eGFR(推算糸球体濾過量)など総合的に評価する必要があります。原因によってですが、軽度の上昇であれば、厳しい制限ではなく、塩分やたんぱく質の摂りすぎに注意する程度で経過観察となることもあります。必ず医療機関を受診し、専門医の判断を仰ぐことをお勧めします。

まとめ

腎臓は一度機能が低下すると回復が難しい臓器です。そのため、日頃から腎臓に優しい食生活を心がけることが何より大切です。

本記事のポイント

  • 腎臓に優しい食べ物は、低塩分、適度なたんぱく質、カリウムが控えめな食材です
  • 加工食品やインスタント食品は塩分が多いため、頻繁な摂取は控えましょう
  • 腎機能が低下している場合は、医師や管理栄養士の指導のもと、個別に食事調整が必要です
  • 健康診断で腎機能の異常を指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう

食事は毎日のことですので、無理なく続けられる工夫が大切です。極端な制限ではなく、バランスの良い食生活を心がけることが、腎臓の健康を守る第一歩となります。

ご自身の腎機能の状態がわからない方は、定期的な健康診断を受けることをお勧めします。また、すでに腎機能低下を指摘されている方は、自己判断での食事制限は避け、必ず専門医や管理栄養士に相談しながら進めていくことが重要です。

当クリニックでは、内科専門医、循環器専門医、糖尿病専門医が連携し、腎機能の評価や食事指導を含めた包括的な診療を行っております。腎臓に関するご不安やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。


参考文献

  1. 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」

執筆者プロフィール

丹野内科・循環器・糖尿病内科 副院長 田邉 優希

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本医師会 認定産業医
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