• 2025年5月22日

コレステロールが多い食品を知っていますか?心臓と血管の健康を守りましょう!!

こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉弦です。皆様は普段の食事で、コレステロールを意識していらっしゃいますか?健康診断でコレステロール値が高いと指摘されて、「何を食べたら良いのか、何を避けるべきなのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。コレステロールは私たちの身体に必要不可欠な成分ですが、摂りすぎると動脈硬化や心臓病のリスクが高まることが知られています。この記事では、循環器専門医として、コレステロールが多く含まれる食品について詳しく解説し、皆様の健康な食生活のお手伝いをしたいと思います。

中性脂肪に関しては以前のブログ「健康診断でよく指摘される中性脂肪!下げるには?コレステロールとの違いは?」をご覧ください。

目次

  1. コレステロールとは?基礎知識を分かりやすく解説
  2. コレステロールが多い食品一覧
  3. コレステロール摂取が身体に与える影響
  4. コレステロールと上手に付き合う食事のコツ
  5. よくある質問(Q&A)
  6. まとめ

1. コレステロールとは?基礎知識を分かりやすく解説

コレステロールの基本的な働き

コレステロールは、脂質の一種で、私たちの身体の細胞膜を作る重要な材料です。まるで建物の壁材のように、細胞を守る役割を果たしています。また、ホルモンの材料にもなる大切な成分です。

善玉と悪玉の違い

よく「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」という言葉を耳にしますが、これは正確にはコレステロール自体ではなく、コレステロールを運ぶ「リポタンパク質」のことを指しています。

  • 善玉コレステロール(HDL): 血管の壁に溜まったコレステロールを肝臓に運び返す、まるで掃除屋さんのような働きをします
  • 悪玉コレステロール(LDL): コレステロールを身体の各部位に運びますが、過剰になると血管の壁に蓄積してしまいます

食事由来と体内合成のバランス

実は、私たちの身体の中のコレステロールの約7割は肝臓で作られ、食事から摂取するのは約3割にすぎません。しかし、食事の内容によってコレステロール値は大きく影響を受けるため、食生活の見直しは重要です。

2. コレステロールが多い食品一覧

コレステロール含有量が特に多い食品

以下に、100gあたりのコレステロール含有量が多い食品をご紹介します。

卵類・乳製品

  • 鶏卵の卵黄: 1,400mg(卵1個の卵黄約17gで約240mg)
  • うずらの卵: 470mg
  • バター: 210mg
  • チーズ(チェダー): 105mg

内臓類(レバーなど)

  • 豚レバー: 250mg
  • 鶏レバー: 370mg
  • 牛レバー: 240mg
  • 腎臓(マメ): 380mg

魚卵・魚介類

  • いくら: 480mg
  • たらこ: 350mg
  • 数の子: 230mg
  • いか: 270mg
  • えび: 150mg
  • あん肝: 560mg

肉類

  • 牛脂身: 90mg
  • 豚脂身: 70mg
  • 鶏皮: 120mg

日常的によく食べる食品のコレステロール含有量

普段の食事でよく使用する食品について、実際の摂取量での計算例をご紹介します:

  • 卵1個(全卵): 約210mg
  • 牛乳200ml: 約24mg
  • 豚ロース肉100g: 約60mg
  • さば(焼き魚1切れ): 約55mg
  • マヨネーズ大さじ1杯: 約21mg

3. コレステロール摂取が身体に与える影響

血中コレステロール値への影響

食事から摂ったコレステロールがすべて血中に反映されるわけではありませんが、個人差があります。一般的に、食事性コレステロールを1日200mg増やすと、血中コレステロール値は5-10mg/dl上昇するとされています。

動脈硬化のメカニズム

悪玉コレステロールが増えすぎると、以下のような過程で動脈硬化が進行します:

  1. 血管の内壁にコレステロールが蓄積
  2. 炎症反応が起こり、プラーク(血管の壁にできる塊)が形成
  3. プラークが大きくなると血管が狭くなる
  4. 血流が悪くなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスク増加

症状と健康への影響

コレステロール値が高いこと自体では、通常症状はありません。しかし、長期間高い状態が続くと

  • 心筋梗塞: 心臓の血管が詰まる
  • 脳梗塞: 脳の血管が詰まる
  • 末梢動脈疾患: 足の血管が狭くなる
  • 腎臓病: 腎臓は動脈硬化の影響を強く受けます

これらのリスクが高まることが知られています。

4. コレステロールと上手に付き合う食事のコツ

基本的な食事の考え方

コレステロールが多い食品を完全に避ける必要はありません。大切なのはバランスと適量を心がけることです。

推奨される対策

  1. 食事の多様性を保つ
    • 特定の食品に偏らず、さまざまな食材を組み合わせる
    • 野菜、果物、穀物、たんぱく質源をバランスよく摂取
  2. 飽和脂肪酸の摂取を控える
    • 実はコレステロール値に最も影響するのは飽和脂肪酸の摂取量
    • バター、ラード、肉の脂身を控えめにする
  3. 食物繊維を積極的に摂取
    • 水溶性食物繊維は体内でコレステロールの吸収を抑制
    • 海藻、きのこ、大麦、オーツ麦などがおすすめ

具体的な置き換えアイデア

日々の食事で実践しやすい置き換え例をご提案します。

朝食の工夫

  • 卵料理の調整: 卵は1日1~2個にする。
  • パンの選択: バターたっぷりのクロワッサンよりも全粒粉パン
  • 乳製品の工夫: 全脂肪牛乳を低脂肪牛乳に

昼食・夕食の工夫

  • 肉類の部位選択: 脂身の多い部位より赤身肉を選ぶ
  • 魚料理を増やす: 肉料理を週2-3回魚料理に置き換え
  • 調理法の変更: 揚げ物より蒸し物、焼き物、煮物を選ぶ

積極的に摂りたい食品

コレステロール値を下げる効果が期待できる食品もあります:

  • 青魚: EPA・DHAが豊富(さば、いわし、あじなど)
  • ナッツ類: アーモンド、くるみなど(無塩のもの)
  • オリーブオイル: 一価不飽和脂肪酸が豊富
  • 大豆製品: 豆腐、納豆、豆乳など
  • 緑茶: カテキンによる抗酸化作用

5. よくある質問(Q&A)

Q1: 卵は1日何個まで食べても大丈夫ですか?

A1: 健康な方であれば、1日2個程度であれば問題ないとする研究が多くあります。ただし、すでにコレステロール値が高い方や心疾患のリスクが高い方は、医師と相談して摂取量を決めることをおすすめします。卵は良質なたんぱく質源でもあるため、完全に避ける必要はありません。

Q2: コレステロール値が高くても症状がないのですか?

A2: コレステロール値の上昇で症状が出ることはありません。血管の変化は徐々に進行するため、症状が現れる頃には相当進行していることが多いのです。だからこそ、定期的な健康診断が重要になります。

Q3: サプリメントでコレステロールは下がりますか?

A3: 一部のサプリメントには効果があるものもありますが、まずは食事と運動による生活習慣の改善が基本です。通院中の方でサプリメントを検討される場合は、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

Q4: コレステロール値を下げる薬を飲んでいますが、食事制限は必要ですか?

A4: 薬を服用中でも、食事による管理は重要です。薬だけに頼るのではなく、食事と運動を組み合わせることで、より効果的にコレステロール値をコントロールできます。また、薬の効果を最大限に発揮するためにも、適切な食生活は欠かせません。

Q5: 子供のコレステロールも心配する必要がありますか?

A5: 家族性高コレステロール血症という遺伝的要因がある場合を除き、小児期のコレステロール値はそれほど心配する必要はありません。ただし、幼少期からの食習慣は将来の健康に大きく影響するため、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

Q6: 植物性油脂はコレステロールが含まれていないから安全ですか?

A6: 植物性油脂にはコレステロールは含まれていませんが、飽和脂肪酸が多いものもあります(例:ココナッツオイル、パーム油)。また、トランス脂肪酸を含むマーガリンなどは、むしろコレステロール値を上げる可能性があります。油脂の種類と摂取量に注意が必要です。

6. まとめ

コレステロールが多い食品について理解を深めていただけたでしょうか。重要なポイントをあらためて整理します。

覚えておきたい3つのポイント

  1. 完全に避ける必要はない: コレステロールが多い食品も、適量であれば問題ありません
  2. バランスが大切: 特定の食品に偏らず、多様な食材を組み合わせましょう
  3. 飽和脂肪酸に注意: コレステロール値に最も影響するのは飽和脂肪酸の摂取量です

今日からできる実践ポイント

  • 週に2-3回は魚料理を選ぶ
  • 野菜や海藻を毎食取り入れる
  • 調理に使う油脂の量・種類を意識する
  • 定期的な運動を心がける
  • 年1回健康診断を受ける

生活習慣病すべての管理に言えるかもしれませんが、コレステロール管理は一日にしてならず、継続的な心がけが大切です。「完璧を求めすぎて食事が楽しくなくなる」ということは避け、8割程度の実践を目指していただければと思います。

もしコレステロール値や食事について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。患者様お一人お一人の状態に合わせたアドバイスをさせていただきます。

参考文献

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