- 2025年12月19日
【松戸市】帯状疱疹ワクチン定期接種を逃さないで!公費負担は生涯1回のみ・令和8年3月末まで
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉弦です。今回は問い合わせの多い帯状疱疹ワクチンについて、定期接種対象者の方のリマインドも兼ねてお話しします。

50歳を過ぎると、多くの方が気になり始める帯状疱疹。ピリピリとした痛みと赤い発疹が特徴的なこの病気は、80歳までに約3人に1人が経験すると言われています。「昔、水ぼうそうになったことがある」という方は、誰でも帯状疱疹になる可能性があるのです。
2025年度(令和7年度)から帯状疱疹ワクチンの定期接種が開始されました。定期接種による公費負担は基本的に生涯に一度だけという大切なチャンスです。しかも、令和8年3月31日までに接種を完了する必要があります。
この記事では、松戸市で内科クリニックを開業する医師として、帯状疱疹ワクチンの定期接種について、皆様が知っておくべき重要な情報を分かりやすくお伝えします。
目次

1. 帯状疱疹とは何か?基礎知識を知ろう
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が原因で発症します。水ぼうそうが治った後も、このウイルスは体内の神経節に潜んでいます。加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活性化して帯状疱疹として発症するのです。
主な症状
帯状疱疹の典型的な症状は以下の通りです。
初期段階
- 体の片側に、チクチク、ピリピリとした痛みやかゆみが現れます
- 皮膚に違和感があるものの、まだ発疹は見られません
- この段階では診断が難しいことがあります
発疹の出現
- 数日後、痛みのある部位に赤い発疹が帯状に現れます
- 発疹は水ぶくれ(水疱)に変化していきます
- 顔面、胸部、腹部、背中など、神経に沿って広がります
痛みの特徴
- 「針で刺されるような」「焼けるような」激しい痛みを伴うことがあります
- 夜も眠れないほどの痛みに悩まされる方もいらっしゃいます
帯状疱疹後神経痛という後遺症
帯状疱疹で最も心配されるのが、帯状疱疹後神経痛という後遺症です。皮膚の発疹が治った後も、3か月以上にわたって痛みが続く状態を指します。
50歳以上の方では、帯状疱疹を発症した方の約2割が帯状疱疹後神経痛に移行すると報告されています。高齢になるほどそのリスクは高まり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

2. 帯状疱疹ワクチン定期接種の対象者
定期接種の経過措置について
2025年度(令和7年度)から2029年度(令和11年度)までの5年間、65歳以上の方を対象に経過措置が設けられています。この期間中、対象となる年齢の方は生涯に一度だけ、公費負担で定期接種を受けることができます。
2025年度(令和7年度)の対象者
以下の年齢に該当する方が対象です
- その年度内に65歳となる方(昭和35年4月2日~昭和36年4月1日生まれ)
- その年度内に70歳となる方(昭和30年4月2日~昭和31年4月1日生まれ)
- その年度内に75歳となる方(昭和25年4月2日~昭和26年4月1日生まれ)
- その年度内に80歳となる方(昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生まれ)
- その年度内に85歳となる方(昭和15年4月2日~昭和16年4月1日生まれ)
- その年度内に90歳となる方(昭和10年4月2日~昭和11年4月1日生まれ)
- その年度内に95歳となる方(昭和5年4月2日~昭和6年4月1日生まれ)
- その年度内に100歳となる方(大正14年4月2日~大正15年4月1日生まれ)
- 2025年度に限り、100歳以上の全ての方
任意接種の対象者
その他松戸市では任意接種の補助も行われています。受けられるのは下記1~4をすべて満たす方です。
- 接種当日に松戸市に住民登録がある方
- 原則、初めて接種を受ける方
※不活化ワクチンの1回目を対象年齢となる前に接種した方が、不活化ワクチンの2回目接種を対象年齢にて実施した場合、2回目接種は任意接種助成の対象として認められます。 - 接種当日50歳・55歳・60歳である方
- 下記生年月日に該当する方
| 接種当日年齢 | 生年月日 |
| 50歳 | 昭和50年4月2日から昭和51年4月1日 |
| 55歳 | 昭和45年4月2日から昭和46年4月1日 |
| 60歳 | 昭和40年4月2日から昭和41年4月1日 |
接種期間は、対象年齢の誕生日から次の誕生日の前日までとなります。シングリックス(不活化ワクチン)を選択される場合、接種間隔が2か月必要なため、次の誕生日前日の2か月前までに1回目を接種する必要がありますのでご注意ください。

3. 2種類のワクチンの違いと選び方
帯状疱疹ワクチンには、2つのタイプがあります。それぞれに特徴があり、ご自身の健康状態やライフスタイルに合わせて選択することが大切です。
生ワクチン(ビケン)
特徴
- 接種回数:1回
- 予防効果:約50~60%
- 効果の持続期間:5年程度
- 副反応:比較的少ない(接種部位の赤みや腫れなど)
メリット
- 1回の接種で済む
- 費用負担が少ない
- 副反応が軽い
デメリット
- 予防効果がシングリックスより低い
- 効果の持続期間が短い
- 免疫抑制状態の方は接種できない
向いている方
- 費用を抑えたい方
- 注射の回数を減らしたい方
- 副反応が心配な方
不活化ワクチン(シングリックス)
特徴
- 接種回数:2回(2か月間隔)
- 予防効果:約97%
- 帯状疱疹後神経痛の予防効果:約90%
- 効果の持続期間:少なくとも10年以上
- 副反応:比較的多い(接種部位の痛み78%、筋肉痛40%、頭痛33%、発熱18%など)
メリット
- 予防効果が非常に高い
- 帯状疱疹後神経痛の予防効果も高い
- 効果が長期間持続する
- 免疫抑制状態の方も接種可能
デメリット
- 2回の接種が必要
- 費用負担が大きい
- 副反応が比較的多い(ただし、2回目は1回目より軽減される傾向)
向いている方
- より高い予防効果を求める方
- 長期的な予防を希望する方
- 免疫抑制療法を受けている方
- 帯状疱疹後神経痛を特に心配されている方
帯状疱疹ワクチンの効果に関しては以前のブログ「知っておきたい帯状疱疹ワクチンの効果!~ 認知症予防!?副反応の心配は?~」にも書いておりますので、是非ご覧ください。

4. 松戸市の助成制度と費用負担
以下に松戸市のホームページより情報を抜粋します。詳しくは、松戸市公式ホームページ「帯状疱疹予防接種の費用助成(定期接種・任意接種)」をご覧ください。
定期接種の費用(65歳以上の対象者)
生ワクチン(1回接種)
- 自己負担額:2,500円
不活化ワクチン・シングリックス(2回接種)
- 自己負担額:1回あたり6,500円(2回で合計13,000円)
※生活保護受給者および法律の規定による支援給付受給者は、全額免除となります。
任意接種の費用
生ワクチン(1回接種)
- 助成額:2,000円
- 実質負担額:医療機関により異なりますが、概ね5,000円~7,000円程度
不活化ワクチン・シングリックス(2回接種)
- 助成額:1回あたり5,000円(2回まで、合計10,000円)
- 実質負担額:1回あたり約15,000円~17,000円(2回で合計約30,000円~34,000円)
※2025年度(令和7年度)の事業であり、2026年度以降の実施は未定です。
費用比較の例
通常、シングリックスを自費で接種すると、1回約20,000~22,000円×2回で合計40,000円以上かかります。しかし、定期接種または任意接種の助成を利用することで、費用負担を大幅に軽減できます。
定期接種(65歳以上対象者)でシングリックスを選んだ場合
- 通常価格:約40,000~44,000円
- 定期接種利用時:13,000円(6,500円×2回)
- 実質的な助成額:約27,000~31,000円
この機会を逃すと、生涯にわたって公費負担を受けられなくなってしまいます。

5. 接種のタイミングが重要な理由
令和8年3月31日までに完了が必須
2025年度(令和7年度)の定期接種対象者の方は、令和8年(2026年)3月31日までに接種を完了する必要があります。この期限を過ぎると、定期接種の対象外となり、公費負担を受けられなくなります。
シングリックスを選ぶ場合は1月中の接種が推奨
シングリックスは2回接種が必要で、1回目と2回目の間に2か月以上の間隔を空けなければなりません。
重要なスケジュール
- 令和8年3月31日までに2回目を完了するには
- 2回目:3月末まで
- 1回目:1月末まで(2か月前)
つまり、シングリックスを選択される方は、遅くとも2026年1月中に1回目の接種を受ける必要があります。
現在12月ですので、今から予約を取り、1月中に1回目を接種すれば、3月末までに2回目を完了できます。
予約が混み合う可能性
年度末が近づくにつれて、接種希望者が増えることが予想されます。ワクチンの在庫状況によっては、希望する時期に接種できない可能性もあります。
早めの行動をお勧めする理由
- 接種予約が取りやすい
- ワクチンの在庫確保がしやすい
- スケジュールに余裕が持てる
- 体調不良などで延期になっても対応できる

6. よくある質問(Q&A)
Q1. 以前に帯状疱疹になったことがありますが、ワクチンは必要ですか?
A. はい、必要です。帯状疱疹は一度かかっても再発する可能性があります。むしろ、帯状疱疹を経験された方は、その辛さをよくご存知だと思いますので、予防接種による保護を受けることが推奨されます。
Q2. 生ワクチンとシングリックス、どちらを選べばよいですか?
A. それぞれにメリット・デメリットがあります。より高い予防効果と長期的な保護を求める方にはシングリックスが推奨されますが、費用が高いのが難点です。かかりつけ医とご相談の上、ご自身の健康状態やライフスタイルに合わせてお選びください。
Q3. 副反応が心配です。仕事への影響はありますか?
A. シングリックスでは、接種部位の痛みや腫れ、筋肉痛、頭痛、発熱などの副反応が比較的高い頻度で見られますが、通常は数日で軽快します。大切な予定の直前は避け、休み前などに接種されることをお勧めします。
Q4. 他のワクチンとの同時接種はできますか?
A. 基本的にその他のワクチンと同時接種可能です。ただ生ワクチンの場合は生ワクチン同士は28日以上間隔を空ける必要があります。接種スケジュールについては、医療機関にご相談ください。
Q5. 予診票はどこで入手できますか?
A. **定期接種対象者(65歳以上)**には、2025年4月下旬に松戸市から予診票が郵送されています。不活化ワクチン接種を2回受ける方のために予診票が2枚同封されていますので、生ワクチンを接種される場合は1枚のみ使用してください。紛失した方や届いていない方は、予防衛生課窓口または各支所の市民健康相談室で受け取ることができます。
**任意接種対象者(50歳、55歳、60歳)**には個別通知は実施されていません。予診票は予防衛生課窓口または各支所の市民健康相談室で受け取ることができます。いずれの場合も、身分証明書(マイナンバーカードなど)をご持参ください。
Q6. 50歳、55歳、60歳以外の方は任意接種の助成を受けられないのですか?
A. はい、松戸市の任意接種助成は、令和7年度(2025年度)において、接種日当日に50歳、55歳、60歳の誕生日を迎える方が対象となっています。例えば、51歳や52歳の方は対象外となります。
Q7. 任意接種の助成はいつまで続きますか?
A. 50歳、55歳、60歳の誕生日を迎える年度の方を対象とした任意接種の助成は、2025年度(令和7年度)の事業です。対象年齢の誕生日から次の誕生日の前日までが接種期間となります。2026年度以降の実施については未定となっていますが、継続されるとしても対象となる年は生涯1度の可能性が高いと思いますので、接種検討されている方は今年度中の接種をお勧めします。なお、シングリックスは2回接種が必要で、接種間隔が2か月必要なため、次の誕生日前日の2か月前までに1回目を接種する必要がありますのでご注意ください。

7. まとめ
帯状疱疹は、誰にでも起こりうる身近な病気です。特に50歳以上の方では発症リスクが高まり、帯状疱疹後神経痛という辛い後遺症に悩まされる可能性があります。
松戸市の帯状疱疹ワクチン定期接種は、皆様の健康を守る貴重な機会です。重要なポイントをもう一度確認します。
覚えておきたい6つのポイント
- 公費負担は生涯に一度だけ:この機会を逃すと、以降は全額自己負担となります
- 令和8年3月31日が期限:2025年度の定期接種対象者は、この日までに接種を完了する必要があります
- 任意接種は特定の年齢のみ:50歳、55歳、60歳の誕生日を迎える年度の方が対象で、次の誕生日の前日までが接種期間です
- シングリックスは1月中に1回目を:定期接種でシングリックスを選ぶ方は、令和8年3月31日までに2回完了するため、1月中に1回目の接種を受けましょう
- 早めの予約が安心:年度末に向けて混雑が予想されます。医療機関にご相談を
- ワクチンは予防の要:高い予防効果が証明されています。ご自身の健康投資として、ぜひご検討ください
当院でも、帯状疱疹ワクチンの接種を行っています。わからないことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。ワクチンの種類選びから接種スケジュールまで、ご説明いたします。
帯状疱疹の予防は、健康と生活の質を守る大切な一歩です。もし定期接種対象者で接種希望がある場合は、忘れずに行動を起こしましょう。
情報源
松戸市公式ホームページ「帯状疱疹予防接種の費用助成(定期接種・任意接種)」
執筆者プロフィール

田邉弦
丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長
- 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
- 日本内科学会 JMECCインストラクター
- 日本救急医学会 ICLSインストラクター
- 認知症サポート医
インタビュー記事はこちらからご覧ください。