- 2025年1月24日
- 2025年2月4日
高血圧の食事療法について。DASH食とは?
こんにちは、丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉弦です。今回は減塩だけではない高血圧の食事療法について解説します。

皆さんDASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)という言葉を聞いたことあるでしょうか?高血圧の食事療法というと減塩が有名ですが、今回は高血圧の改善に効果的なDASH食について、具体的な食材選びから実践的なメニュー例まで紹介しようと思います。すべてを実践することは難しいかもしれないですが、少し頭の片隅に入れておくだけでも今後の食事療法に良い変化が出てくると思います。
目次

高血圧と食事の深い関係
高血圧の治療において、食事療法は大変重要な役割を果たします。
特に、高血圧の原因には
- 塩分過多
- カリウム不足
- 野菜不足
- アルコールの過剰摂取
が大きな割合を占めていると言われています。特に我々日本人は食生活的に塩分摂取が多いとされているので、塩分制限の重要性は耳にしたことがある方も多いのではないのでしょうか。
このような背景の中、DASH食は科学的根拠に基づいた効果的な食事法として、世界的に推奨されています。
DASH食とは?
DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食は、高血圧予防と治療のために開発された食事法です。
1980年代からアメリカでは高血圧患者の増加が社会問題となっていました。薬物療法への依存度が高かった背景もあり、1990年代にアメリカのNIH(国立衛生研究所)のもとで食事療法に対する臨床研究が行われました。この研究の結果、野菜・果物・低脂肪乳製品摂取による降圧効果を実証され、DASH食という概念が確立されました。その後さらに研究が行われDASH食と減塩を組み合わせることでの相乗効果(DASH-sodium食)も実証されています。もちろんアメリカで開発されたこの食事がすべて日本人にすべて適応されるとは限りませんが、食生活の欧米化もあり日本でも食事が高カロリー、高脂肪になってきていることは間違いないと思います。
DASH食のポイント
DASH食のポイントは以下の食材を積極的に取り入れることです。
ナトリウム排泄作用のあるカリウムをはじめ、カルシウム・マグネシウムなどのミネラル、食物繊維やたんぱく質を積極的に摂取します。
- 野菜と果物
- 全粒穀物
- 低脂肪の乳製品
- 魚・鶏肉・豆類
- ナッツ類
一方で、以下の食品は控えめにすることが推奨されています。
- 牛や豚肉(特に脂身)
- 甘いお菓子
- 糖分の多い飲料
上記を踏まえ、DASH食の具体的な実践方法として1日の食事例としては以下のようなものが推奨されています。
朝食:
- 全粒粉パンまたは玄米ご飯
- 低脂肪ヨーグルトとフルーツ
- 野菜サラダ
昼食:
- 雑穀ご飯
- 魚や鶏肉の蒸し物
- たっぷり野菜の味噌汁
- 季節の果物
夕食:
- 玄米ご飯
- 豆腐や豆類のおかず
- 温野菜
- 和風だしベースの汁物
こうして書くのは簡単ですが、実践するのはなかなか難しいと思います。ただ外食時にも玄米や雑穀米を選べる定食屋などもあるので、可能であればそちらを選択する。魚や野菜やフルーツをなるべくとるようにするなどを意識するだけでも変わってくると思います。

DASH食の注意点
良いことばかりに思えるDASH食ですが、何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」でいくら健康的な食事だからといって偏って食べすぎることはよくありません。よくある注意点は以下の通りです。
- フルーツには糖分が多いので、肥満や糖尿病の方は注意
- 腎臓病の方はカリウムの排泄が落ちていて高カリウム血症になりやすいため注意
- ナッツ類も脂質が多いため、食べすぎには注意。無塩・素焼きのものを片手に軽く一杯程度を推奨
食事療法を継続するためのポイント
ここまで食事療法に関するポイントを解説してきましたが、やはり食事療法も運動療法も薬物療法も継続することが一番大事です。
何事もそうですが、食事を変えたとしてもすぐに効果は現れず最低2-3週間はかかりますので、血圧の値に一喜一憂せず気長に推移を見守ることが必要です。
いきなりすべてを変えようとは思わず少しずつ改善していき、例えば最初は1週間に1つなど無理せず取り組みましょう。
一緒に食事をする人がいる方であれば、皆で共通の目標を持ち協力して健康的な生活を目指すのがおすすめです。
まとめ:DASH食を始めてみましょう!!
DASH食は、科学的根拠に基づいた効果的な食事療法です。無理なく継続することで、血圧改善・生活習慣病の予防・健康増進効果が期待できます。
当院では、患者さま一人一人の生活スタイルに合わせた治療を大切にしております。生活習慣病でお悩みの方は、ぜひご来院ください。予約や詳しい説明をご希望の方は、Webサイトまたは電話からお問い合わせください。