- 2026年4月14日
栄養成分表示の見方を完全解説|糖尿病・高血圧・脂質異常症を予防するための賢い食品選び
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉優希です。

スーパーやコンビニで食品を手に取ったとき、裏面に小さく印刷された「栄養成分表示」を気にしたことはありますか?「なんとなく見たことはあるけれど、何をどう読めばいいのかわからない」「数字が多くて読む気になれない」という方は、じつはとても多いです。
しかし、この栄養成分表示を正しく読めるようになると、糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満の管理がとてもしやすくなります。
この記事では、栄養成分表示の基本的な見方から、糖尿病・高血圧・脂質異常症が気になる方に特に注目してほしいポイントまで、わかりやすくご説明します。ぜひ、最後までご覧いただき、次のお買い物から実践してみてください。

目次
- 栄養成分表示とは?法律で義務づけられた「食品の健康情報」
- 必ず確認したい「5項目」の見方
- 生活習慣病が気になる方が特にチェックすべきポイント
- こんな表示にも注意!「〇〇ゼロ」「カロリーオフ」の落とし穴
- 実践!栄養成分表示を使った食品の比べ方
- よくあるご質問(Q&A)
- まとめ
1. 栄養成分表示とは?法律で義務づけられた「食品の健康情報」
栄養成分表示とは、加工食品のパッケージに記載されているエネルギー・栄養素の含有量を示した情報です。
2015年に施行された「食品表示法」により、一般用加工食品へのこの表示が義務化されました。つまり、スーパーやコンビニで売られているほぼすべての加工食品に、統一されたフォーマットで記載されています。
以前は食品によってバラバラな表示がされており、消費者が比較しにくい状況でしたが、法改正によって「エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量」の5項目が必ず記載されるようになりました。
患者さんからよく「栄養成分表示って専門家向けのものでしょ?」と言われることがありますが、そんなことはありません。これは一般の消費者が毎日の食品選びに活用するための情報です。
読み方さえ覚えれば、薬局で市販薬を選ぶように、自分の体に合った食品を選ぶ力が身につきます。

2. 必ず確認したい「5項目」の見方
栄養成分表示には、必ず以下の5項目が記載されています。それぞれの意味と目安をご説明します。
① エネルギー(kcal:キロカロリー)
その食品を食べると、どれくらいのエネルギーを摂取するかを示す数値です。
一般的な成人が1日に必要なエネルギー量は、身体活動レベルにもよりますが、男性で約2,250〜2,600 kcal、女性で約1,750〜1,950 kcal程度とされています(日本人の食事摂取基準2025年版より)。
たとえばコンビニのおにぎり1個が約180〜200 kcal、カップ麺1個が約300〜500 kcalというイメージです。「これを食べると1日の何%分のエネルギーになるか」を意識するだけで、食事全体のバランスが取りやすくなります。
② たんぱく質(g:グラム)
筋肉・骨・皮膚・免疫細胞など、体を作る材料となる栄養素です。
成人が1日に必要なたんぱく質量は体重1kgあたり約0.8〜1.0gが目安とされています(60kgの方なら約48〜60g)。高齢の方では筋肉量の維持のため、やや多めの摂取が推奨される場合もあります。
ダイエット中でも、たんぱく質が不足すると筋肉が落ちてリバウンドしやすくなるため、このポイントは特に重要です。
③ 脂質(g)
エネルギー源になるほか、細胞膜やホルモンの材料にもなる栄養素です。
1日の脂質の目標量は、総エネルギーの20〜30%程度が目安です(2,000 kcal摂取の場合、約44〜67g)。脂質はカロリーが高く、1gあたり9 kcalとエネルギー密度が高いため、摂りすぎると肥満につながりやすいとされています。
ただし、脂質は種類が重要です。後ほど「飽和脂肪酸」についてもご説明します。
④ 炭水化物(g)
糖質+食物繊維の合計値です。糖尿病が気になる方にとって最も重要な数値のひとつです。
炭水化物の中でも、血糖値を上げるのは「糖質」の部分です。食物繊維は血糖値を上げにくく、腸内環境の改善にも役立ちます。
最近では「糖質○g」「食物繊維○g」と内訳が記載されている商品も増えてきました。糖質量が気になる方は、この内訳表示のある商品を選ぶとより管理しやすくなります。
⑤ 食塩相当量(g)
ナトリウム量を食塩の量に換算した数値です。高血圧が気になる方は特に重要です。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2025では、高血圧の方には1日6g未満の食塩摂取が推奨されています。日本人の平均的な食塩摂取量は男性で10.5g、女性で8.9g(国民健康・栄養調査2024年)と目標を大きく上回っており、減塩への意識は現代の日本人にとって非常に重要です。

3. 生活習慣病が気になる方が特にチェックすべきポイント
糖尿病・血糖値が気になる方:「炭水化物(糖質)」に注目
血糖値を上げる主な原因は、食品に含まれる糖質です。
同じ「炭水化物 30g」と書かれた食品でも、その中の糖質と食物繊維の割合が異なります。食物繊維が多い食品ほど血糖値の上昇が緩やかになりやすいとされています。
たとえば、白米と玄米を比べると、同じご飯でも玄米のほうが食物繊維が豊富で血糖値の上昇が穏やかです。
また、「砂糖・ブドウ糖果糖液糖」などが原材料の上位に書かれている食品は、血糖値を急激に上げやすいので注意が必要です(原材料表示は含有量の多い順に記載されています)。
高血圧が気になる方:「食塩相当量」に注目
1回あたりの食塩相当量が1gを超える食品は、1日のトータルを意識しながら選ぶことが大切です。
加工食品に含まれる塩分は「隠れ塩分」と呼ばれることがあり、見た目や味では気づきにくいことがあります。たとえばパンやハム、練り物類、インスタント食品などには意外と多くの塩分が含まれています。
「薄味にしているのに血圧が下がらない」という方は、こうした加工食品の食塩相当量を意識することで改善につながる場合があります。
脂質異常症(高コレステロール・中性脂肪)が気になる方:「脂質」と「飽和脂肪酸」に注目
任意表示項目である飽和脂肪酸の値が記載されている場合は、合わせて確認されることをおすすめします。
飽和脂肪酸は主にバターや肉の脂身、ヤシ油などに多く含まれており、摂りすぎると悪玉コレステロール(LDL)を上昇させる可能性があるとされています。一方、魚に多く含まれるEPA・DHAなどの不飽和脂肪酸は、中性脂肪を下げる方向に働くことが報告されています。
中性脂肪が高い方は炭水化物(特に糖質)の摂りすぎにも注意が必要で、脂質と糖質の両方をバランスよく管理することが大切です。

4. こんな表示にも注意!「〇〇ゼロ」「カロリーオフ」の落とし穴
スーパーやコンビニでよく見かける「糖質ゼロ」「カロリーオフ」「ノンシュガー」などの表示。これらには、食品表示基準による明確なルールがあります。
| 表示 | 基準値(飲料100mlあたり) |
| カロリーゼロ・エネルギーゼロ | 5 kcal未満 |
| カロリーオフ・低カロリー | 20 kcal以下 |
| 糖質ゼロ | 0.5g未満 |
| 糖質オフ・低糖質 | 2.5g以下 |
| ノンシュガー・無糖 | 糖類0.5g未満 |
「ゼロ」と書いてあっても、完全に0ではなく「一定量以下」という意味であることがわかりますね。
また、「糖質ゼロ」でもカロリー(エネルギー)はゼロではない場合があります。アルコールはカロリーがありますし、脂質もカロリーに含まれるためです。
さらに、「糖質ゼロ」の甘みは人工甘味料で代替されていることが多く、腸内環境への影響や甘味への依存性については現在も研究が続けられています。
「ゼロだから安心、いくら食べても大丈夫」とはならない点をぜひ覚えておいてください。

5. 実践!栄養成分表示を使った食品の比べ方
ステップ1:「1食分」か「100gあたり」かを確認する
栄養成分表示には「1食分(○g)あたり」と「100gあたり」の2種類があります。
たとえばポテトチップスの袋に「1食分30gあたり 160 kcal」と書いてあっても、袋全体が90gであれば、全部食べると480 kcalになります。「全部食べてしまうかもしれない」と思ったら、袋全体の量で計算してみましょう。
ステップ2:同じカテゴリの食品を比べる
同じヨーグルトでも、加糖タイプと無糖タイプでは糖質量が大きく異なります。無糖ヨーグルト100gの糖質が約5gであるのに対し、加糖タイプでは10〜15gになることも少なくありません。
このように同じカテゴリ内で比較することで、より健康的な選択肢を見つけやすくなります。
ステップ3:原材料表示もあわせてチェック
栄養成分表示と並んで重要なのが原材料表示です。原材料は含有量の多い順に記載されているため、砂糖や食塩が上位に来ている食品は注意が必要です。
また、「食塩不使用」と書かれていても、醤油やみそなど塩分を含む別の原材料が使われている場合もあります。

6. よくあるご質問(Q&A)
Q. 毎回全部チェックするのは大変ですよね?
A. その通りです!最初からすべてを確認しようとすると、かえって続きにくくなります。まずは「自分にとって気になる1項目」だけ確認することから始めましょう。血糖値が気になる方なら炭水化物(糖質)、血圧が気になる方なら食塩相当量、体重管理中ならエネルギー、という具合です。習慣になってきたら、少しずつ確認する項目を増やしていくのがおすすめです。
Q. 外食やお惣菜には栄養成分表示がないことが多いですが、どうすればいいですか?
A. 大手チェーン店はホームページやアプリに栄養成分を公開していることが多いです。また、外食のときは「野菜を先に食べる」「汁物の量を減らす」「揚げ物より焼き物を選ぶ」など、大まかな食事の工夫で対応することが一般的です。完璧を目指すよりも、「全体としてバランスの良い食事」を心がけることが大切です。
Q. 子どもの食品を選ぶときも同じように見ればいいですか?
A. 基本的な見方は同じですが、子どもは成長のためにエネルギーやたんぱく質、カルシウムなどが大人と異なる量で必要です。子ども向けの食事管理については、かかりつけの小児科や管理栄養士にご相談されることをおすすめします。
Q. サプリメントにも栄養成分表示はありますか?
A. サプリメント(栄養補助食品)にも栄養成分表示が義務づけられています。ただし、含有量が非常に多い栄養素(ビタミン・ミネラルなど)を摂りすぎると、かえって体に影響が出る場合もあります。特に薬を服用中の方は、服薬している薬とサプリメントの相互作用についてご相談ください。
Q. 糖尿病と診断されました。具体的に何gまで糖質を制限すればいいですか?
A. 糖質制限の目標量は、年齢・体重・合併症の有無・使用薬剤などによって個人差が大きく、一律にお答えすることが難しい部分があります。「適切な糖質摂取量」については、担当医にご相談の上、ご自身の状態に合わせた目標を設定されることをおすすめします。当院では、糖尿病の食事療法についてのご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
糖尿病患者の糖質制限に関して詳しく知りたい方は以前のブログ「糖尿病の食事療法について。糖尿病に糖質制限は有効なの?」をご覧ください。

まとめ
栄養成分表示は、難しい専門知識がなくても活用できる、身近な健康情報ツールです。
今回のポイントをおさらいしましょう。
- 5項目(エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)が義務表示
- 糖尿病・血糖値が気になる方は炭水化物(糖質)に注目
- 高血圧が気になる方は食塩相当量に注目
- 「ゼロ表示」は完全なゼロではないことを知っておく
- まずは1項目だけ確認することから始める
食事は毎日の積み重ねです。一度に完璧を目指す必要はありません。少しずつ、「この食品にはどんな栄養が含まれているのかな?」と手に取ってみる習慣が、長期的な健康につながります。
生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症など)は、日々の食事習慣が深く関わる疾患です。「なんとなく不安」「食事をどう変えればいいかわからない」という方は、ぜひお気軽に当院にご相談ください。
当院(丹野内科・循環器・糖尿病内科)は、松戸駅から徒歩5分のキテミテマツド8階にございます。糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を専門とする医師が、患者様一人ひとりに寄り添った診療を行っております。
参考文献・引用元
執筆者プロフィール

丹野内科・循環器・糖尿病内科 副院長 田邉 優希
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本医師会 認定産業医