- 2026年3月9日
血糖値が上がりにくい食べ物とは?糖尿病専門医が教える食事選びのポイント
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉優希です。今回は患者様から聞かれることの多い血糖値の上がりにくい食べ物についての話題です。

「食後に血糖値が急上昇している気がする」「健康診断で血糖値が少し高めと言われた」――そんな不安を抱えている方は、実はとても多くいらっしゃいます。血糖値のコントロールは、糖尿病の予防・管理だけでなく、日々の体調や生活習慣病全般にも深く関わっています。そして、その第一歩となるのが「何を食べるか」という食事の選択です。
この記事では、糖尿病専門医の立場から、血糖値が上がりにくい食べ物の特徴と具体例、そして毎日の食事に取り入れやすい実践的なポイントをわかりやすくご説明します。
「難しそう」「制限ばかりで辛そう」と感じる必要はありません。正しい知識を持って、少しずつ食習慣を見直していきましょう。
目次

1. 血糖値が上がる仕組みをおさらい
まず、血糖値が上がる仕組みを簡単に確認しましょう。私たちが食べ物を口にすると、消化・吸収を経て「ブドウ糖(グルコース)」が血液中に入ります。これが血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)の上昇です。
通常、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが血糖値を適切な範囲に戻してくれます。しかし、糖質の多い食事を続けたり、インスリンの分泌や働きが低下したりすると、血糖値が高い状態(高血糖)が続きやすくなります。
特に問題とされるのが、食後に血糖値が急激に跳ね上がる「血糖値スパイク」です。これは自覚症状がほとんどないにもかかわらず、血管や臓器への負担が大きいとされており、動脈硬化や糖尿病の進行リスクとの関連が指摘されています。
血糖値スパイクについて詳しく知りたい方は以前のブログ「血糖値スパイクとは?原因・症状・予防法を内科医が徹底解説」をご覧ください。

2. 「血糖値が上がりにくい食べ物」の3つの特徴
血糖値が上がりにくい食べ物には、共通した3つの特徴があります。
① GI値(グリセミック指数)が低い
GI値(Glycemic Index)とは、食品を摂取したときの血糖値の上昇スピードを数値化したものです。GI値70以上を「高GI」、55以下を「低GI」と分類するのが一般的です。
低GI食品は、ゆっくりと消化・吸収されるため、血糖値の急激な上昇を抑えやすいとされています。
② 食物繊維が豊富
食物繊維は消化酵素で分解されにくく、糖の吸収を穏やかにする働きがあります。また、腸内環境を整えることでインスリンの効きをよくする効果も期待されています。
特に水溶性食物繊維(海藻・きのこ・オートミールなどに多い)は、食後の血糖値上昇を抑えるうえで注目されています。
③ たんぱく質・脂質を含む
たんぱく質や脂質は、糖質と比べて血糖値への直接的な影響が少なく、また消化に時間がかかるため食後の血糖値上昇を緩やかにする効果が期待されます。ただし、脂質の摂りすぎはカロリー過多につながるため、質と量のバランスが大切です。

3. 具体的な食品リストと活用法
◆ 主食・炭水化物類
| 食品 | GI値の目安 | ポイント |
| 白米 | 約73(高GI) | 食べ方の工夫で上昇を緩やかにできる |
| 玄米 | 約55(低〜中GI) | 食物繊維・ビタミンB群が豊富 |
| もち麦・大麦 | 約50前後 | β-グルカン(水溶性食物繊維)が豊富 |
| 全粒粉パン | 約50〜55 | 白パンより食物繊維が多い |
| そば | 約54 | うどん(約80)より低GI |
| オートミール | 約55 | 朝食への取り入れが容易 |
活用のヒント: 白米に玄米やもち麦を混ぜる「ブレンド炊き」は、味の変化を抑えながら血糖値上昇を緩やかにする方法として広く取り入れられています。
◆ 野菜類
葉物野菜・根菜の多くは低GI食品です。特に以下の食品は血糖値管理において取り入れやすいとされています。
- 葉物野菜(ほうれん草・小松菜・レタス): GI値15〜30程度。食事の最初に食べる「ベジファースト」との相性◎
- ブロッコリー・キャベツ: 食物繊維が豊富で、低GI
- きのこ類(しめじ・えのき・舞茸): ほぼ糖質を含まず、β-グルカンが豊富
- 海藻類(わかめ・めかぶ・もずく): 水溶性食物繊維が豊富で、糖の吸収を抑える働きが期待される
注意点: 根菜でもニンジン(GI約39)は比較的低GIですが、じゃがいも(GI約76)やかぼちゃ(GI約65)は比較的高GIの部類に入るとされています。加熱方法によっても変動するため、食べ過ぎには注意が必要です。
◆ たんぱく質食品
- 魚(特に青魚): 糖質が少なく、EPA・DHAも含む。週に2〜3回の摂取が推奨されることが多い
- 大豆・大豆製品(豆腐・納豆・豆乳): 低GIかつたんぱく質・食物繊維が豊富。血糖値管理との相性が良い食品
- 卵: GI値はほぼ0。良質なたんぱく質源
- 鶏むね肉・ささみ: 低脂質・高たんぱく。血糖管理中の食事に適している
◆ 果物
果物に含まれる「果糖(フルクトース)」は、ブドウ糖に比べて血糖値を急激に上げにくい性質がありますが、摂りすぎは中性脂肪増加につながる場合があるため、量と種類に注意が必要です。
- 比較的おすすめ: いちご(GI約29)、グレープフルーツ(GI約31)、りんご(GI約36)
- 食べ過ぎに注意: バナナ(GI約53)、ぶどう(GI約46)、すいか(GI約72)
一日の果物の摂取目安量は、日本糖尿病学会の食事療法の指針では「1単位(80kcal相当)程度」が参考にされています。

4. 食べ方・順番も重要です――「食べ方の工夫」
実は、「何を食べるか」と同じくらい「どのように食べるか」も血糖値に大きく影響します。
① ベジファースト(野菜から食べる)
食事の最初に野菜・きのこ・海藻などの食物繊維を食べることで、その後に食べる糖質の吸収を穏やかにする効果が期待されています。「野菜→たんぱく質→炭水化物」の順番が基本です。
② ゆっくり・よく噛んで食べる
早食いは血糖値スパイクのリスクを高めるとされています。一口30回を目安によく噛むと、満腹感も得やすくなります。
③ 食後の軽い運動
食後15〜30分程度の軽いウォーキング(10〜20分程度)は、筋肉がブドウ糖を消費するため、食後血糖値の上昇を抑えるうえで効果的とされています。激しい運動は必要なく、「食後に少し歩く」だけでも十分です。
④ 3食を規則正しく
食事を抜くと次の食事での血糖値上昇が大きくなる「セカンドミール効果」が生じやすくなります。特に朝食を抜く習慣は、昼食後の血糖値スパイクを招きやすいとされています。

5. 注意が必要な食べ物
血糖値を管理する観点から、以下の食品は過剰な摂取に注意が必要とされています。
- 清涼飲料水・果汁100%ジュース: 液体の糖質は吸収が非常に速く、血糖値を急上昇させやすい
- 白いパン・菓子パン・精製された白い主食: 食物繊維が少なく、GI値が高め
- 甘いお菓子・スイーツ: 砂糖・液糖が多く含まれる
- アルコール: 直接的な血糖値上昇だけでなく、食欲増進による過食や低血糖(インスリン使用中の方)にも注意が必要
これらを「完全に禁止」する必要はありませんが、食べる量・頻度・タイミングへの意識が大切です。

6. よくある質問(Q&A)
Q1. 玄米は白米より血糖値が上がりにくいのですか?
A. 一般的に、玄米は白米に比べてGI値が低く、食物繊維・ビタミン・ミネラルも豊富です。ただし、食べる量が多ければ血糖値は上がりますので、摂取量のコントロールも大切です。白米に玄米やもち麦を混ぜる方法も取り入れやすい工夫です。
Q2. 「糖質ゼロ」の食品なら安心して食べていいですか?
A. 「糖質ゼロ」表示があっても、完全に糖質が含まれていないわけではありません(食品表示基準では100gあたり0.5g未満であれば「ゼロ」と表示できます)。また、人工甘味料が血糖応答に影響する可能性を示す研究も報告されていることから、過信しすぎず、全体的な食事バランスを意識されることが大切です。
Q3. 果物は糖尿病の人は食べてはいけないのですか?
A. 果物は食べてはいけないわけではありません。含まれる果糖はブドウ糖より血糖値を上げにくい一方、食べ過ぎは中性脂肪の増加につながることがあります。種類と量を工夫しながら、1日1単位程度(80kcal相当)を目安に取り入れていただくのが一般的です。
Q4. 食物繊維のサプリメントで代用できますか?
A. 食物繊維のサプリメント(イヌリンやグアーガムなど)が血糖値上昇を抑える効果を示す研究もありますが、食品から得られる多様な栄養素との相乗効果を考えると、まず食事全体を整えることが基本です。サプリメントの使用を検討される際は、かかりつけの医師にご相談されることをお勧めします。
Q5. 血糖値が気になる場合、いつ受診すればいいですか?
A. 健康診断で「空腹時血糖値100mg/dL以上」「HbA1c 5.6%以上」の指摘を受けた場合、または食後の強い眠気・口渇・疲れやすさなどの症状が気になる場合は、早めに内科を受診されることをお勧めします。当院では当日のHbA1c検査にも対応しております。

7. まとめ
いかがだったでしょうか?最後にもう一度血糖値が上がりにくい食べ物のポイントを整理します。
- 低GI食品を選ぶ: 玄米・もち麦・そば・野菜・豆類・きのこ・海藻など
- 食物繊維を積極的に摂る: 毎食野菜・きのこ・海藻を加える意識を
- たんぱく質をしっかり摂る: 魚・大豆製品・卵・鶏肉などを活用
- 食べ方も工夫する: ベジファースト・ゆっくり食べる・食後に少し歩く
- 清涼飲料水・菓子パン・甘いお菓子は量と頻度に注意
食事療法は「完璧にやらなければならない」ものではなく、無理なく長く続けることが大切です。まずは一つひとつを少しずつ取り入れてみましょう。
血糖値に不安がある方、健康診断の結果が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。当院 (松戸駅徒歩5分 キテミテマツド8階 丹野内科・循環器・糖尿病内科)では、糖尿病専門医と循環器専門医が連携して患者様の健康をサポートいたします。
その他にも多数の糖尿病の記事を書いていますので、是非ご覧ください。
執筆者プロフィール

丹野内科・循環器・糖尿病内科 副院長 田邉 優希
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本医師会 認定産業医