- 2026年3月26日
新しいPCR検査機器導入しました!~15分で15種類の呼吸器感染症を同時診断~
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉弦です。今回は新しく導入したPCR機器についての紹介です。

「熱が下がらない」「咳が2週間以上続いている」「インフルエンザの検査は陰性なのに、なかなか治らない」——そんなお悩みを抱えて来院される患者様は、毎シーズン非常に多くいらっしゃいます。実は、呼吸器の感染症はインフルエンザだけではなく、ウイルスや細菌など多種多様な原因によって引き起こされます。正確な原因がわからないまま治療を続けることは、回復の遅れや不要な薬の服用につながることもあります。
当院(丹野内科・循環器・糖尿病内科/キテミテマツド8階)では、このたび最新の多項目PCR検査システム「BioFire® SpotFire®」を導入しました。この機器により、約15分で15種類の呼吸器感染症の原因を一度に特定できるようになりました。
本記事では、PCR検査とはどのような検査なのか、どんな方に向いているのかをわかりやすくご説明します。ぜひ最後までお読みください。

目次
- PCR検査とは?ふだんの検査とどう違うの?
- 呼吸器感染症の原因はこんなにたくさんある
- 当院が導入した「BioFire® SpotFire®」とは
- こんな方にPCR検査をおすすめします
- PCR検査を受けるとどうなる?検査の流れ
- よくあるご質問(Q&A)
- まとめ
PCR検査とは?ふだんの検査とどう違うの?
「PCR検査」という言葉は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに広く知られるようになりました。しかし、PCR検査はコロナウイルスだけのための検査ではありません。
PCRとは「Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)」の略で、ウイルスや細菌が持つ遺伝子(DNA・RNA)を極微量から増幅して検出する技術です。体内にいるウイルスはごく微量なので、量を増やして発見しやすくする検査と思っていただければよいと思います。
従来の迅速検査との違い
当院でよく行っている「迅速検査(抗原検査)」は、ウイルスや細菌のタンパク質を検出する方法です。手軽で早い一方、ウイルス量が少ない感染初期には偽陰性(本当は感染しているのに陰性と出る)になりやすいという弱点があります。
PCR検査は遺伝子レベルで検出するため、感染初期のわずかなウイルス量でも高い精度で検出できるのが大きな特徴です。

呼吸器感染症の原因はこんなにたくさんある
「風邪」と一口に言っても、その原因は200種類以上のウイルスや細菌にのぼると言われています。日常診療でよく遭遇する呼吸器感染症の原因には、以下のようなものがあります。
ウイルス:
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
- 季節性コロナウイルス(いわゆる「風邪コロナ」)
- インフルエンザA・B型(A/H1-2009株、A/H3株を含む)
- RSウイルス(乳幼児や高齢者で重症化リスクあり)
- アデノウイルス
- ヒトメタニューモウイルス
- ヒトライノウイルス/エンテロウイルス
- パラインフルエンザウイルス
細菌:
- Mycoplasma pneumoniae(マイコプラズマ肺炎)
- Chlamydia pneumoniae(クラミジア肺炎)
- Bordetella pertussis(百日咳菌)
- Bordetella parapertussis(パラ百日咳菌)
原因不明のまま治療を続けることのリスク
たとえばマイコプラズマ肺炎は、通常の風邪薬や一般的な抗生物質が効きにくく、適切な抗菌薬が必要です。百日咳は感染初期に見逃されやすく、咳が数週間〜数ヶ月続く「コンコン咳」が特徴的ですが、早期診断で重症化を防ぐことができます。
原因を特定することで、必要な薬を適切なタイミングで使用でき、回復を早め、抗菌薬の不必要な使用も減らすことができます。

当院が導入した「BioFire® SpotFire®」とは
このたび当院が導入した「BioFire® SpotFire® 」は、フランスの医療機器メーカーbioMérieux(ビオメリュー)が提供する、世界水準の多項目同時PCR検査システムです。
15種類の病原体を約15分で同時検出
従来、複数の感染症を調べるには、それぞれの検査キットを使い分ける必要があり、時間もコストもかかっていました。BioFire® SpotFire®は「Multiplex-Nested PCR法」という高精度の技術を用いて、1回の検体採取で15項目の病原体を約15分という短時間で同時に調べることができます。
診察で検体を採取し、15分程度お待ちいただく間に結果が出ます。
操作がシンプルで患者様の負担も少ない
検体は鼻の粘膜を綿棒で軽くぬぐうだけです。多少の痛みや不快感はありますが、お子さまや高齢の患者様にも受けていただきやすい検査です。
当院では、このシステムを活用することで「なぜ治らないのか」「本当の原因は何か」を迅速かつ的確に調べ、より適切な治療方針をご提案できるようになりました。

こんな方にPCR検査をおすすめします
以下のような症状や状況に心当たりがある方は、ぜひご相談ください。
- 発熱・咳・のどの痛みが5日以上続いている
- インフルエンザや抗原検査が陰性だったのに症状が改善しない
- 家族や職場でよくわからない感染症が流行している
- 咳が2〜3週間以上続いている(百日咳・マイコプラズマの可能性)
- 乳幼児・高齢者・基礎疾患のある方で感染症が疑われる
- 重症化リスクが高く、早めに原因を特定したい
特に、咳が長引いている場合や、複数の家族が次々と感染している場合は、原因の特定が感染拡大の防止にもつながります。

PCR検査を受けるとどうなる?検査の流れ
ステップ1:問診・診察
まず症状の経過や既往歴、生活環境などを伺います。PCR検査が適切かどうかを判断したうえでご提案します。
ステップ2:検体採取
鼻の粘膜を綿棒でぬぐいます。所要時間は数十秒程度です。
ステップ3:機器での解析(約15分)
採取した検体をBioFire® SpotFire®に挿入し、自動で解析が行われます。
ステップ4:結果説明・治療方針の決定
15種類の病原体についての結果が出ますので、わかりやすくご説明し、必要な治療をご提案します。

よくあるご質問(Q&A)
Q1. PCR検査は保険で受けられますか?費用は?
A. 基本的に保険適応の検査です。費用は3割負担で4500円程度になります。インフルやCOVID19の抗原検査は1000円程度ですので、高額な検査と言えます。受診時にご相談ください。
Q2. どんな症状のときに検査を受けるべきですか?
A. 発熱・咳・鼻水などの呼吸器症状が続いている場合、特に原因が特定できないときや症状が改善しないときにご相談ください。
Q3. 子どもや高齢者でも受けられますか?
A. はい、どなたでも受けていただけます。綿棒で鼻腔をぬぐうだけですので、採血などに比べて負担は少ない検査です。
Q5. 陰性だったら安心していいですか?
A. 15項目の病原体が検出されなかったとしても、それ以外の原因による感染症の可能性はあります。引き続き症状が続く場合は、医師に再度ご相談ください。

まとめ
呼吸器感染症の原因は多岐にわたり、症状だけで判断することには限界があります。当院が新たに導入したBioFire® SpotFire® により、1回の検査で15種類の病原体を約15分で同時に特定できるようになりました。「なかなか治らない咳や発熱」「原因がわからない感染症状」でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。早期に原因を特定することが、より早い回復への第一歩です。
当院は松戸駅から徒歩5分、キテミテマツド8階にございます。発熱外来も終日行っております。WEB予約も受け付けておりますので、お気軽にご来院ください。
執筆者プロフィール

田邉弦
丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長
- 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
- 認知症サポート医