• 2026年4月7日

【2026年4月~】肺炎球菌ワクチン「プレベナー20」が定期接種に!65歳になったら知っておきたいこと


こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉弦です。前回は妊婦さんに対するRSウイルスワクチンが定期接種になったことを書きましたが、同じく2026年4月から高齢者定期接種の肺炎球菌ワクチンの種類も変更になりました。今回は新しくなった肺炎球菌ワクチンについてのお話です。

肺炎は日本人の死因の上位に位置する感染症です。そして、その中で一番多い原因菌が「肺炎球菌」です。この肺炎球菌から身を守るためのワクチンが、2026年4月から変わりました。65歳の方が公費助成(定期接種)で受けられるワクチンが、これまでの「ニューモバックス(PPSV23)」から、より進化した「プレベナー20(PCV20)」に切り替わったのです。

「ワクチンの種類が変わってどう違うの?」「自分は対象になるの?」「もう打っているけど大丈夫?」

そんな疑問にお答えするため、最新情報をわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。


目次

  1. そもそも肺炎球菌とはどんな菌?
  2. なぜ65歳になったらワクチンが重要なのか
  3. 2026年4月に何が変わった?制度改定のポイント
  4. プレベナー20(PCV20)の特徴と従来ワクチンとの違い
  5. 定期接種の対象者・接種のタイミング
  6. 過去にワクチンを打ったことがある方はどうすれば?
  7. 接種時の注意点・副反応について
  8. よくあるご質問(Q&A)
  9. まとめ

そもそも肺炎球菌とはどんな菌?

「肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)」は、私たちの鼻やのどの奥にも普段から存在することがある細菌です。健康なときは問題なくても、体の免疫力が落ちたときや、高齢になったときに、肺炎や髄膜炎・敗血症などの重い病気を引き起こすことがあります。

肺炎球菌が恐ろしい理由のひとつは、その「型の多さ」にあります。肺炎球菌には90種類以上の「血清型(けっせいがた)」と呼ばれる種類があり、同じ”肺炎球菌”でも、型が違えば別の菌のように振る舞います。

これは、同じ「インフルエンザ」でも型が違えば別の流行を起こすのと似たような話です。ワクチンで「どの型をカバーするか」が、予防効果を左右する重要なポイントになります。

なぜ65歳になったらワクチンが重要なのか

加齢とともに、私たちの免疫機能は少しずつ低下していきます。いわゆる「免疫の老化」です。

若い頃は軽い風邪で済んでいたものが、65歳を過ぎると肺炎に進展しやすくなったり、回復に時間がかかるようになったりします。また、高血圧・糖尿病・心疾患・呼吸器疾患などの持病がある方は、さらにリスクが高くなります

日本では、肺炎で入院される方の多くが65歳以上の高齢者です。肺炎はときに「寝たきり」や「認知症の悪化」のきっかけにもなり、QOL(生活の質)を大きく損なうことがあります。

だからこそ、65歳という節目に肺炎球菌ワクチンの接種が公費助成(定期接種)として位置づけられているのです。

2026年4月に何が変わった?制度改定のポイント

定期接種ワクチンが「ニューモバックス」から「プレベナー20」へ

2026年度から、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23、ニューモバックス®)に替わって、20価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV20、プレベナー20®)が、65歳の方などを対象とした定期接種(B類疾病)ワクチンとして使用されるようになりました。

これは非常に大きな変化です。「プレベナー」といえば、これまでは小児(赤ちゃん)のワクチンというイメージがあったかもしれませんが、2026年4月より成人の定期接種としても用いられるようになりました。

つまり、65歳の方が公費助成で受けられるワクチンが、より新しく・より効果の持続する「結合型ワクチン」に格上げされたということです。

プレベナー20(PCV20)の特徴と従来ワクチンとの違い

従来の「ニューモバックス(PPSV23)」とは?

ニューモバックスは長年にわたって定期接種として使われてきた、実績のあるワクチンです。23種類の血清型に対応しています。ただし、「多糖体ワクチン」と呼ばれるタイプで、免疫の記憶を長く保ちにくいという特性があり、効果が4〜7年ほどで弱まるとされていたため、5年ごとの再接種が推奨されていました。

新しい「プレベナー20(PCV20)」は何が違う?

プレベナー20は「結合型ワクチン(PCV)」と呼ばれるタイプです。仕組みを少し説明すると、肺炎球菌の表面にある成分に「タンパク質」をくっつけることで、体の免疫システムにより深く記憶させる工夫がされています。

ちょうど「名前だけ覚えさせる」のがニューモバックス、「顔と名前をセットで覚えさせる」のがプレベナー20、というイメージです。

結合型ワクチンの大きなメリットは次の2点です。

① 免疫が長く持続する:プレベナー20やキャップバックス (以前のブログ記事をご覧ください。)は、長期的な効果を期待できる点から、2026年現在は1回接種のみで良いと考えられています。かつてのように「5年後にまた打ちに来てください」という必要がなくなりました。

② カバーする型が増えた:プレベナー20は20種類の肺炎球菌をカバーする結合型ワクチンで、日本の成人の侵襲性肺炎球菌感染症の約55〜56%をカバーできると言われています。

ニューモバックスの再接種はもう必要ない?

日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の最新の合同声明では、「ニューモバックス(PPSV23)接種後の再接種を、原則として選択肢としない」という方針が明確になりました。新しい結合型ワクチン(プレベナー20やキャップバックス)を1回打つ方が効果的という考え方に変わったためです。

定期接種の対象者・接種のタイミング

対象者

定期接種の対象は、①65歳の方、および②60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患(心臓・腎臓・呼吸器の機能障害、HIV感染による免疫機能障害など)を有する方です。

接種の猶予期間

定期接種には接種猶予期間があり、65歳の誕生日から66歳の誕生日の前日まで、1年間の余裕があります。「65歳になったばかりでまだ打っていない」という方も、焦らず医療機関にご相談ください。

費用について

定期接種は全額自費ではなく、公費助成(一部自己負担)で受けることができます。自己負担額については各自治体によって異なりますので、お住まいの市区町村の窓口やクリニックにお問い合わせください。(当院がある千葉県松戸市は4000円の自己負担になります。)

過去にワクチンを打ったことがある方はどうすれば?

「以前に定期接種でニューモバックスを打ったけれど、今回のプレベナー20も打てるの?」というご質問をよくいただきます。過去に一度でも「定期接種」として肺炎球菌ワクチンを受けたことがある方は、今回のプレベナー20を公費(助成)で受けることはできません。

ただし、任意接種(自費)という形で接種を受けることは可能です。

PPSV23あるいはPCV13/15/20接種後、1年以上の間隔をおいてPCV20またはPCV21(キャップバックス)を接種することができます。「以前打ったから自分はもう終わり」と思わず、「1年以上たったし、より広い予防を…」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

接種時の注意点・副反応について

プレベナー20は安全性が確認されているワクチンですが、接種後に以下のような反応が出ることがあります。

注射部位の局所反応(多くの方に見られます)

  • 接種した腕の痛み・腫れ・赤み
  • 通常は数日以内に自然に改善します

全身反応(一部の方に見られます)

  • 発熱、疲労感、頭痛など

プレベナー20に特異的な副反応の報告はなく、ワクチン接種による一般的な副反応の範囲とされています。

接種後はすぐに激しい運動をしたり、飲酒したりすることは避け、当日は安静にお過ごしください。万が一、蕁麻疹や、呼吸苦が出た場合は、速やかに接種を受けた医療機関にご連絡ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 65歳ですが、まだ肺炎球菌ワクチンを一度も打ったことがありません。今からでも間に合いますか?

A. はい、もちろんです。ワクチンを受けるのに「遅すぎる」ということはありません。むしろ、初めての方こそ定期接種の対象となりますので、ぜひ早めにご相談ください。今回から定期接種に使われるプレベナー20(結合型ワクチン)は、1回の接種で長期間の免疫が期待できます。


Q2. 以前、5年前に定期接種でニューモバックスを打ちました。また打った方がいいですか?

A. 学会の最新の見解では、ニューモバックスの再接種は原則として推奨されなくなりました。代わりに、結合型ワクチン(プレベナー20やキャップバックスなど)への切り替えが推奨されています。前回の接種から1年以上の間隔が必要ですので、5年前に打ったということでしたら接種は検討されます。ご自身の接種歴と現在の状態を踏まえて、医師と相談したうえで最適な接種計画を立てることをお勧めします。


Q3. 子どもが赤ちゃんのころに打ったプレベナー13と、今回のプレベナー20は同じですか?

A. 同じ「プレベナー」シリーズのワクチンですが、別のワクチンです。プレベナー13は13種類の血清型に対応し、小児の定期接種で使われてきました。今回のプレベナー20はそれをさらに発展させ、20種類の血清型をカバーするようになった最新版です。なお、PCV13(プレベナー13)はPCV20の発売に伴い、市場から引き上げられ販売終了となっています。


Q4. 糖尿病や高血圧の治療を受けています。接種はできますか?

A. 接種可能です。むしろ、糖尿病や心疾患などの基礎疾患がある方は感染リスクが高いため、積極的な接種が推奨されています。ただし、現在の体調との関係については、接種前に担当医にご相談ください。当院でもご相談をお受けしています。


Q5. インフルエンザワクチンと同時に打てますか?

A. 現在の日本の予防接種の考え方では、異なるワクチンを同日に接種することが認められています(同時接種)。ただし、実際に同時接種を行うかどうかは、患者様の体調や接種歴を確認したうえで医師が判断します。例年秋のインフルエンザシーズンに合わせてご来院いただき、まとめてご相談いただく方もいらっしゃいます。

まとめ

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 2026年4月から、65歳の方の定期接種ワクチンが「ニューモバックス(PPSV23)」から「プレベナー20(PCV20)」に変更されました。
  • プレベナー20は「結合型ワクチン」で、免疫が長く持続し、1回の接種が基本です。「5年ごとに再接種」という時代から大きく変わりました。
  • 定期接種の対象は、65歳の方(および一定の基礎疾患を持つ60〜64歳の方)で、過去に定期接種歴がない方です。
  • 過去にニューモバックスを受けたことがある方も、任意接種として結合型ワクチンへの切り替えが検討できます(1年以上の間隔が必要)。
  • 接種に関してご不明な点があれば、お気軽に医療機関にご相談ください。

肺炎は「なってから治す」より、「なる前に防ぐ」ことが大切です。特に65歳という節目を迎えた方には、今回の制度改定を機にぜひ接種をご検討いただければと思います。

丹野内科・循環器・糖尿病内科(松戸駅徒歩5分・キテミテマツド8階) では、肺炎球菌ワクチンに関するご相談・接種を承っております。「自分は対象?」「以前打ったけど次はどうすれば?」といったご質問もお気軽にご相談ください。


参考文献・引用元

  1. 日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会合同委員会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第8版(2026年4月1日)」

執筆者プロフィール

田邉弦

丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長

  • 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
  • 認知症サポート医

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