• 2026年10月6日

1日3食は本当に正しい?医師が解説する食事回数と血糖値の関係

こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科 副院長の田邉優希です。今回は疑問に思われる方の多い食事回数に関するブログです。

「1日3食、規則正しく食べましょう」——健診や診察の場で、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。一方で、SNSや書籍では「1日2食のほうが健康的」「食事回数は少ないほうが痩せる」といった情報も見かけ、どちらが正しいのか迷ってしまう方も多いようです。

結論から申し上げますと、多くの方にとって、1日3食を規則正しくとる食習慣は、血糖値の安定や生活習慣病の予防という観点から理にかなっていると考えられます。ただし、これは「絶対に3食でなければならない」という意味ではなく、年齢や体格、持病の有無によって最適な食べ方は変わってきます。

この記事では、糖尿病診療を専門とする立場から、食事回数が体に与える影響を、できるだけわかりやすい言葉でご説明します。ご自身の食習慣を見直すきっかけになれば幸いです。

目次

  1. 食事回数と血糖値の基礎知識
  2. 食事を抜くと体に何が起こるのか
  3. 1日3食を上手に実践するコツ
  4. よくある質問(Q&A)
  5. まとめ

1. 食事回数と血糖値の基礎知識

そもそも「血糖値」とは

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。私たちはご飯やパンなどの糖質を食べると血糖値が上がり、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって、血糖値は再び落ち着いていきます。

このインスリンの働きが悪くなったり、分泌量が不足したりすると、血糖値が下がりにくくなります。これが糖尿病の基本的なしくみです。

「血糖値スパイク」という現象

空腹の時間が長く続いた後に一気に食事をとると、血糖値が急激に上がり、その後急激に下がる現象が起こりやすくなります。これを「血糖値スパイク(食後高血糖)」と呼びます。

イメージとしては、ジェットコースターのように血糖値が乱高下する状態です。この急上昇・急降下が繰り返されると、血管の内側が傷つきやすくなり、動脈硬化のリスクが高まると考えられています。

食事の間隔が空きすぎないよう、1日のうちで適度な回数に分けて食べることは、この血糖値の乱高下を抑えるうえで一定の意味があるとされています。

血糖スパイクについては以前のブログ「血糖値スパイクとは?原因・症状・予防法を内科医が徹底解説」も是非ご覧ください。

2. 食事を抜くと体に何が起こるのか

よくある「朝食抜き」のパターン

診察をしていると、次のような食習慣の方をよく見かけます。

  • 朝は食欲がなく、時間もないため朝食を抜く
  • 昼食を空腹のまま迎え、早食い・大盛りになりがちになる
  • 昼食後、数時間して強い眠気やだるさ、空腹感に襲われる
  • 夕方に間食をしてしまい、さらに夕食も遅い時間にしっかり食べてしまう

このパターンは、朝食を抜いたことで昼食後の血糖値スパイクが起こりやすくなり、その反動で夕方以降の空腹感や間食につながっている典型例といえます。

朝食抜きと心血管リスク

近年の研究では、朝食を習慣的に抜く食生活が、心血管疾患による死亡リスクの上昇と関連する可能性が報告されています。また、1日の早い時間帯から食事を開始する「朝型」の食事スタイルの人は、血糖値やインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が低い傾向にあることを示す研究も発表されています。

これは、私たちの体に備わっている「体内時計(概日リズム)」が、朝から日中にかけて糖を利用しやすいリズムになっていることと関係していると考えられています。逆に、夜間は体を動かす機会が少なく、エネルギー消費が落ちるため、同じ糖質量でも脂肪として蓄積されやすい傾向があります。

「まとめ食い」の落とし穴

1日の摂取エネルギー量が同じであっても、食事の回数が少なく1回あたりの量が多くなる「まとめ食い」は、食後の血糖値の上昇幅が大きくなりやすいことがわかっています。特に糖尿病予備群の方や、すでに血糖値が高めを指摘されている方にとっては、注意が必要なポイントです。

3. 1日3食を上手に実践するコツ

ここからは、日常生活の中で無理なく実践できる工夫をご紹介します。

ステップ1:朝食を「軽くてもいいので」とる

忙しい朝は、しっかりした朝食が難しいこともあるかと思います。その場合も、ヨーグルトと果物、バナナ1本だけでも構いませんので、何かしら口にする習慣をつけることが第一歩です。

ステップ2:食事量のバランスを意識する

一般的には、朝食・昼食・夕食の量を「朝:昼:夕=3:5:2」程度のイメージで、活動量の多い時間帯にしっかり食べ、夜は控えめにするという配分が推奨されることが多いです。米やパンなどの糖質は、体を動かす機会の多い朝食・昼食に多めに配分し、夕食は野菜やたんぱく質を中心にすると、夜間の血糖上昇を抑えやすくなります。

ステップ3:食事の間隔を空けすぎない

昼食から夕食までの間隔が7〜8時間以上空くと、空腹感が強くなり、夕食でのまとめ食いにつながりやすくなります。小腹が空いた場合は、ナッツやヨーグルトなど血糖値への影響が緩やかな軽い間食を、食事の3〜4時間前までに済ませておくのも一つの方法です。

ステップ4:食べる順番を工夫する

野菜や海藻、きのこなどの食物繊維を含む食品を先に食べ、その後に肉や魚などのたんぱく質、最後にご飯やパンなどの糖質をとる「食べる順番」を意識すると、食後の血糖値の上昇が緩やかになりやすいとされています。

例外もあることを知っておく

高齢の方や、もともと食が細い方、消化器疾患をお持ちの方などでは、1日3食にこだわりすぎるとかえって食事量が確保できず、低栄養につながる場合もあります。このようなケースでは、少量を複数回に分けて食べる「分割食」が推奨されることもあります。ご自身に合った食べ方については、かかりつけ医にご相談いただくことが望ましいです。

4. よくある質問(Q&A)

Q1. 1日2食のほうがダイエットには向いていますか?

体重だけを見れば、総摂取エネルギーを抑えられれば1日2食でも減量につながる場合があります。ただし、朝食を抜いた分、昼食や夕食での血糖値スパイクが起こりやすくなる点には注意が必要です。減量を検討されている場合は、食事回数だけでなく食事内容や生活全体のバランスで判断することが推奨されます。

Q2. 間食は絶対にダメですか?

間食そのものが問題というわけではありません。量やタイミング、内容次第です。ナッツや無糖のヨーグルト、少量の果物など血糖値への影響が緩やかなものを、食事の合間に適量とる分には、極端な空腹によるまとめ食いを防ぐ効果も期待できます。

Q3. すでに糖尿病を指摘されていますが、食事回数を見直すべきですか?

糖尿病や糖尿病予備群を指摘されている方は、食事回数だけでなく、食事内容・量・タイミングを含めた総合的な食事療法が重要です。自己判断で極端な食事制限を行うと、かえって血糖コントロールが乱れることもありますので、必ず主治医や管理栄養士にご相談のうえで進めていただくことをおすすめします。

Q4. 夜遅くに食事をとる生活が続いています。改善できますか?

すぐに生活リズムを変えるのが難しい場合は、夕方に軽い補食をとって空腹感を和らげ、夜の食事量を抑える、糖質の多いものを避けるといった工夫から始めるのも一つの方法です。少しずつ、無理のない範囲で調整していくことが継続のコツです。

まとめ

  • 1日3食を規則正しくとる食習慣は、血糖値の急激な変動(血糖値スパイク)を抑えるうえで理にかなっていると考えられます
  • 朝食を抜く習慣は、心血管疾患のリスク上昇と関連する可能性が報告されています
  • 食事の量は「朝:昼:夕=3:5:2」程度を目安に、日中にしっかり、夜は控えめにするのがひとつの工夫です
  • 高齢の方や食が細い方などは、必ずしも3食にこだわらず「分割食」が向いている場合もあります
  • 持病がある方や血糖値が気になる方は、自己判断ではなく、かかりつけ医への相談をおすすめします

食習慣は日々の積み重ねです。すべてを一度に変える必要はありません。まずはできることから、少しずつ見直していただければと思います。ご自身の血糖値や食事内容について気になる点がございましたら、当院 (松戸駅 徒歩5分 キテミテマツド8階 丹野内科・循環器・糖尿病内科)にてお気軽にご相談ください。


参考文献・情報源

  • Ali M, Reutrakul S, Petersen G, Knutson KL. “Associations between Timing and Duration of Eating and Glucose Metabolism: A Nationally Representative Study in the U.S.” Nutrients. 2023 Feb 1;15(3):729. doi: 10.3390/nu15030729 
  • 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」

執筆者プロフィール

丹野内科・循環器・糖尿病内科 副院長 田邉 優希

  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本医師会 認定産業医

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