• 2026年9月7日

夏に痛風発作が増える理由とは?今日からできる予防法を医師が解説

こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長の田邉弦です。最近急に涼しくなって夏本番は過ぎてしまいましたが、今回は夏と痛風の関係に関するブログです。

「最近、汗をたくさんかくようになったら足の親指が急に痛み出した」——そんな経験はありませんか。実は、痛風発作は夏に増えやすいことが知られています。気温の上昇による発汗や水分不足、ビールなどアルコール摂取量の増加が、体内の尿酸値に影響を与えるためです。

この記事では、夏に痛風が起こりやすい理由から、症状の特徴、日常生活でできる予防法、そしてよくある疑問まで、内科医の立場からわかりやすく解説します。「最近尿酸値を指摘された」「急な関節の痛みが心配」という方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

  1. 痛風とはどのような病気か
  2. なぜ夏に痛風発作が増えるのか
  3. 具体的な症状と体への影響
  4. 夏にできる予防法・対処法
  5. よくある質問(Q&A)
  6. まとめ

1. 痛風とはどのような病気か

痛風は、血液中の「尿酸」という物質が増えすぎることで発症する病気です。尿酸は本来、尿とともに体外へ排出されますが、体内で作られる量が多すぎたり、排出がうまくいかなかったりすると、血液中に尿酸が溜まっていきます。この状態を「高尿酸血症」と呼びます。

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版[2022年追補版](日本痛風・尿酸核酸学会)では、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症と定義しています。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が結晶化し、関節に沈着します。この結晶に対して体が急激な炎症反応を起こすことで、激しい痛みを伴う「痛風発作」が生じるのです。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、国内の痛風患者は125万人、高尿酸血症の方は1,000万人にのぼると推定されています。決して珍しい病気ではなく、働き盛りの男性を中心に、身近に起こりうる生活習慣病のひとつといえます。

2. なぜ夏に痛風発作が増えるのか

発汗による脱水と尿酸濃度の上昇

夏は気温上昇に伴って発汗量が増えます。汗として水分が失われると、血液が濃縮され、相対的に尿酸の濃度が高くなります。ちょうど、コップの中の砂糖水から水分だけが蒸発すると、甘みが濃くなるのと似たイメージです。体内の尿酸も同様に、水分が減ることで濃度が上がりやすくなります。

ビールや冷たい飲み物との関連

夏はビールなど、アルコール飲料を口にする機会が増える季節でもあります。アルコールには尿酸の排出を妨げる働きがあるうえ、ビール自体に尿酸のもとになるプリン体が比較的多く含まれています。加えて、暑さで食欲が落ち、そうめんや冷たい麺類など単品の食事が続くことで栄養バランスが偏りやすいことも影響すると考えられています。

運動やレジャーによる急激な負荷

夏休みやアウトドアレジャーで急に激しい運動をすると、筋肉のエネルギー代謝が活発になり、一時的に尿酸が作られやすくなります。「久しぶりに草野球で全力疾走した翌日、足の指が痛み出した」というのも、よくあるパターンです。

3. 具体的な症状と体への影響

痛風発作の典型的な特徴は、以下のようなものです。

  • 足の親指の付け根に、ある日突然強い痛みが出る
  • 痛みのある部分が赤く腫れ、熱を持つ
  • 靴下が触れるだけでも激痛を感じることがある
  • 発作は数日から1〜2週間程度でいったん落ち着く

発作は足の親指に起こることが多いですが、足首や膝など他の関節に生じることもあります。「風が吹いただけでも痛む」という表現から「痛風」と名付けられたともいわれるほど、症状の強さが特徴です。

また、痛風発作そのものだけでなく、高尿酸血症を放置すると、腎機能の低下や尿路結石、さらには高血圧や脳心血管疾患のリスクとも関連することが指摘されています。「関節の痛みだけの問題」と考えず、生活習慣全体を見直すきっかけとして捉えることが大切です。

4. 夏にできる予防法・対処法

こまめな水分補給を心がける

汗で失われる水分をこまめに補うことは、尿酸濃度の上昇を防ぐうえで基本となります。喉が渇いてから飲むのではなく、時間を決めてこまめに水やお茶を摂ることが推奨されます。糖分の多い清涼飲料水は別のリスクにつながるため、水やお茶を中心にするとよいでしょう。

アルコール、特にビールの量を見直す

暑気払いの機会が増える季節ですが、アルコールの摂取量には注意が必要です。休肝日を設ける、量を決めて飲むといった工夫が推奨されます。

プリン体の多い食品を摂りすぎない

レバーや白子、干物など、プリン体を多く含む食品の摂取が続くと、尿酸値の上昇につながりやすくなります。毎日ではなく、時々楽しむ程度に留めることが望ましいとされています。

適度な運動を習慣にする

急激で激しい運動は避け、ウォーキングなど無理のない有酸素運動を日常的に取り入れることが推奨されます。運動習慣は尿酸値だけでなく、体重管理や血糖コントロールにも良い影響が期待できます。

定期的な健康診断で尿酸値を確認する

自覚症状がなくても、健康診断で尿酸値をチェックする習慣が大切です。数値の変化を早めに把握することで、生活習慣の見直しや、必要に応じた治療につなげることができます。

5. よくある質問(Q&A)

Q1. 痛風発作が起きたとき、自分でできることはありますか?

A. 患部を冷やし、できるだけ安静にすることが一般的です。ただし、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、早めに医療機関を受診することが推奨されます。

Q2. 尿酸値が高いと言われましたが、痛みはありません。放置してよいですか?

A. 症状がない状態は「無症候性高尿酸血症」と呼ばれます。この段階でも、食事や飲酒習慣の見直しが推奨されます。数値や合併症の有無によって対応が異なるため、医師に相談されることをおすすめします。

Q3. 痛風は男性だけの病気ですか?

A. 男性に多い傾向がありますが、女性でも閉経後などにホルモンバランスが変化することで発症することがあります。性別を問わず、注意が必要な病気です。

Q4. 一度発作が治まれば、もう心配ないのでしょうか?

A. 発作が治まっても、尿酸値が高いままであれば再発する可能性があります。むしろ1回発作が起きた方は再発しやすいです。普段の尿酸値の管理が重要とされています。

6. まとめ

夏は発汗による脱水、アルコール摂取量の増加、急な運動などが重なりやすく、痛風発作のリスクが高まりやすい季節です。こまめな水分補給、飲酒量の見直し、バランスの良い食事、適度な運動といった日常生活の工夫が、予防の基本となります。

「最近尿酸値を指摘された」「足の関節に違和感がある」という方は、一人で抱え込まず、早めに内科を受診し、ご自身の状態に合った対応を相談されることをおすすめします。生活習慣病全般の管理については、当院の高血圧や糖尿病に関する記事もあわせてご参照ください。


参考文献

執筆者プロフィール

田邉弦

丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長

  • 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
  • 認知症サポート医

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