• 2026年8月10日

動悸の危険な見分け方とは?受診すべきサインを循環器専門医が解説

こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長の田邉弦です。「急に胸がドキドキする」「脈が飛ぶ感じがして不安になる」——動悸は、多くの方が一度は経験する身近な症状です。その多くは心配のいらないものですが、なかには不整脈や心臓の病気が隠れていて、早めの対応が望ましいケースもあります。

この記事では、松戸市の循環器内科専門医が、危険な動悸と様子を見てよい動悸の見分け方を、具体例を交えてわかりやすく解説します。「どんな動悸なら受診すべきか」の目安を知ることで、必要以上に不安にならず、必要なときに適切に行動できるようになります。

目次

  1. 動悸とは?基礎知識
  2. 危険な動悸のサイン——こんな症状は要注意
  3. 比較的心配の少ない動悸
  4. 動悸を感じたときの対処法と予防
  5. よくある質問(Q&A)
  6. まとめ

動悸とは?基礎知識

動悸とは、「心臓の拍動をふだんより強く、速く、あるいは不規則に感じる状態」を指します。

心臓は、ポンプ(心筋)と電気系統(刺激伝導系)からできた臓器にたとえられます。電気系統の信号が乱れると、脈が速くなったり、飛んだり、バラバラになったりします。これが不整脈による動悸です。

一方、電気系統に異常がなくても動悸は起こります。緊張、ストレス、睡眠不足、カフェインやアルコールの摂りすぎ、発熱などで心臓の拍動が強まると、動悸として自覚されることがあります。また、貧血や甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)といった心臓以外の病気が原因になることもあり、内科的な視点での見極めが大切です。

なお、安静時の成人の脈拍は1分間におよそ60〜100回が目安とされています。ご自身の「ふだんの脈」を知っておくと、異常に気づきやすくなります。

危険な動悸のサイン——こんな症状は要注意

以下のような特徴がある動悸は、心臓の病気が関係している可能性があるため、早めの受診が推奨されます。

1. 失神・めまい・冷や汗を伴う動悸

動悸とともに意識が遠のく、目の前が暗くなる、冷や汗が出る場合は、脳へ十分な血液が送れていないサインの可能性があります。とくに失神を伴う場合は、命に関わる不整脈が隠れていることもあるため、速やかな受診(症状が続く場合は救急要請)が望まれます。

2. 胸の痛み・強い息切れを伴う動悸

動悸に加えて胸が締めつけられるような痛みや、安静にしても治まらない息切れがある場合は、狭心症や心不全などが背景にあることがあります。

3. 脈が「バラバラ」に乱れる動悸

脈のリズムがまったく不規則で、強さもバラバラな場合は、心房細動という不整脈の可能性があります。心房細動は心臓の上の部屋(心房)が小刻みに震えるように動く状態で、心房内に血のかたまり(血栓)ができやすくなり、脳梗塞のリスクが約5倍に高まると報告されています。動悸を感じないまま健診で見つかる方も少なくありません。

心房細動に関しての詳細は以前のブログ「なかやまきんに君のCMで有名!?心房細動って何が問題なの?」をご覧ください。

4. 突然始まり、突然止まる動悸

たとえば「階段を上っていたわけでもないのに、スイッチを入れたように急に脈が速くなり、数分〜数十分後にピタッと止まる」——このようなパターンは、発作性上室頻拍などの不整脈に特徴的です。発作時の心電図が診断の決め手になるため、症状の起こり方をメモしておくと診療に役立ちます。

5. 運動中に起こる動悸、突然死の家族歴がある場合

運動中の動悸や失神、若くして突然亡くなったご家族がいる場合は、遺伝性の不整脈疾患の可能性も考慮し、一度循環器内科での評価が推奨されます。

受診の目安まとめ

  • すぐに救急要請を検討:動悸に加えて意識を失った、強い胸の痛みが続く、呼吸が苦しくて動けない場合。
  • 数日以内の受診が望ましい:脈がバラバラに乱れる、動悸が繰り返し起こる、安静時の脈拍が1分間に120回を超える、または40回を下回る場合。
  • 外来でご相談を:ときどき脈が飛ぶ、緊張時だけ動悸がする、といった場合も、一度検査で確認しておくと安心です。

比較的心配の少ない動悸

次のような動悸は、多くの場合、緊急性は高くないと考えられています。

  • 脈が一瞬「トンッ」と飛ぶ感じ(期外収縮):健康な方にもみられる、いわば心臓の「しゃっくり」のようなものです。頻度が多い場合や症状が強い場合は検査をおすすめしますが、多くは経過観察で問題ありません。
  • 緊張時や寝る前だけの動悸:ストレスや自律神経の影響で起こることが一般的です。
  • カフェイン・飲酒・寝不足のあとの動悸:生活習慣の見直しで改善することが多い動悸です。

ただし「心配の少ない動悸」かどうかの最終判断には心電図などの検査が必要です。自己判断で済ませず、気になる場合は一度ご相談ください。

動悸を感じたときの対処法と予防

その場での対処——3つのステップ

  1. 座って安静にする:まず腰を下ろし、深呼吸をします。転倒によるけがを防ぐ意味もあります。
  2. 脈を測る:手首の親指側に反対の手の指3本を当て、「速いか・遅いか」「規則的か・バラバラか」を確認します。スマートウォッチの心電図記録も診断の参考になります。
  3. 症状をメモする:始まり方・続いた時間・止まり方・きっかけを記録しておくと、診察がスムーズになります。

予防のポイント

睡眠を十分にとる、カフェインやアルコールを控えめにする、禁煙する、といった生活習慣の調整が基本です。また、高血圧や糖尿病、肥満は心房細動の危険因子とされており、生活習慣病の管理そのものが不整脈の予防につながります。血圧や血糖の管理については、当院の高血圧・糖尿病に関する記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 動悸がしても、受診時には治まっています。それでも検査できますか?

A. はい。24時間装着するホルター心電図などで、日常生活中の不整脈を捉えることができます。ご相談ください。

Q2. 健診で「心房細動の疑い」と言われました。症状がなくても受診すべきですか?

A. 受診をおすすめします。心房細動は無症状でも脳梗塞のリスクがあるため、必要に応じて血液をサラサラにするお薬(抗凝固薬)の検討が推奨されます。

Q3. スマートウォッチで「不規則な心拍」の通知が出ました。どうすればよいですか?

A. 通知だけで診断は確定しませんが、心房細動が見つかるきっかけになることがあります。記録された波形やデータをお持ちのうえ、一度受診されることをおすすめします。

Q4. 動悸は年のせいでしょうか?

A. 加齢とともに不整脈は増えますが、「年のせい」と決めつけるのは禁物です。甲状腺の病気や貧血が原因のこともあり、血液検査と心電図での確認が一般的です。

まとめ

  • 動悸の多くは心配いりませんが、失神・胸痛・強い息切れを伴う動悸、脈がバラバラな動悸、突然始まり突然止まる動悸は早めの受診が推奨されます。
  • 脈の測り方と症状の把握が、正確な診断への近道です。
  • 心房細動は脳梗塞のリスクを高めるため、無症状でも放置しないことが大切です。

当院(丹野内科・循環器・糖尿病内科/松戸駅徒歩5分・キテミテマツド8階)では、循環器専門医による診察、心電図・ホルター心電図・心臓超音波検査などを行っています。動悸でご不安な方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

執筆者プロフィール

田邉弦

丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長

  • 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
  • 認知症サポート医

インタビュー記事はこちらからご覧ください。

丹野内科・循環器・糖尿病内科 047-711-6450 ホームページ