- 2026年9月16日
【2026年】インフルエンザが8月に流行入り|今季の特徴・症状・ワクチンの考え方を松戸の内科医が解説
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長の田邉弦です。

「まだ暑いのに、インフルエンザ?」 2026年の夏の終わりは、こうした驚きの声を耳にする機会が増えています。
厚生労働省の発表によると、2026年は8月中旬に全国でインフルエンザの流行開始の目安を超えました。感染症法が施行された1999年以降では、2009年に次いで2番目に早い流行入りとされています(前シーズンから流行が続いていた2023年を除く)。
この記事では、2026年のインフルエンザの特徴と症状、予防法と対処法、今シーズンのワクチンのポイントを、最新のデータをもとに解説します。
【目次】

1. 2026年のインフルエンザの基礎知識
インフルエンザと「かぜ」の違い
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる感染症です。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、通常1〜3日程度とされています。
一般的なかぜを「しとしと降る小雨」にたとえるなら、インフルエンザは「急に襲ってくる夕立」のようなものです。高い熱や全身のだるさが、短時間のうちに一気に現れるのが特徴です。
例年より1か月以上早い流行入り
流行の目安には「定点当たり報告数」が使われます。指定された医療機関1か所あたりに、1週間で平均何人の患者さんが報告されたかを示す数字で、1.00を超えると「流行入り」とされます。
- 第34週(8月17日〜23日):全国1.11、千葉県1.80
- 第35週(8月24日〜30日):全国1.76(報告数6,543人)
昨シーズンの流行入りは2025年9月下旬(第39週)でしたので、今年は1か月以上早いスタートです。千葉県も8月26日に、県内の流行シーズン入りを発表しています。
背景にある、ウイルスの「変装」
インフルエンザウイルスは、少しずつ姿を変えながら流行を繰り返します。昨シーズンは、A香港型(H3N2)の中で「サブクレードK」と呼ばれる変異したグループが世界的に広がりました。
国内では、2025年11月(第47週)に定点当たり51.12の大きな山ができたあと、年明けにはB型を中心に、2026年2月上旬(第6週)に43.34という2つ目の山が記録されています。1シーズンに2度の流行がありうることを、心に留めておくと安心です。

2. 注意したい症状と体への影響
典型的な症状
主な症状は、急な38℃以上の発熱、頭痛、関節痛・筋肉痛、強い倦怠感(だるさ)です。のどの痛み、鼻水、せきなど、かぜに似た症状を伴うこともあります。
たとえば「朝はいつもどおり出勤したのに、昼過ぎに寒気がして、夕方には39℃台に」という経過は、よくみられるパターンです。残暑の時期は「夏バテかな」と思い込みやすいため、季節にとらわれず体の変化に目を向けることが大切です。
重症化に注意が必要な方
次のような方は、肺炎などの合併症を起こしやすいとされています。
- 65歳以上の方、乳幼児、妊娠中の方
- 心臓病、糖尿病、呼吸器の病気、腎臓病などをお持ちの方
心臓や血糖値への影響
インフルエンザの影響は、のどや肺だけにとどまりません。カナダの研究では、インフルエンザと確定診断されてから1週間以内は、心筋梗塞の発症率がそれ以外の時期の約6倍だったと報告されています。
また、発熱や食欲の低下によって、糖尿病のある方は血糖値が乱れやすくなります。持病をお持ちの方ほど、「かからない工夫」と「かかったときの早めの相談」が大切です。
すぐに受診・相談したいサイン
- 息苦しさや胸の痛みがある
- 意識がぼんやりしている、呼びかけへの反応が鈍い
- 水分がとれず、尿の量が少ない
なお、お子さんや10代の方では、急に走り出すなどの異常な行動がみられることがあります。診断され治療を始めた後、少なくとも2日間は一人にならないよう見守ることが大切とされています。

3. 予防法と、かかったときの対処法
2026/27シーズンのワクチンのポイント
ワクチンは、体の免疫に「最新の手配写真」を覚えてもらうようなものです。ウイルスが変装すれば、写真も新しくする必要があります。
- A型2種類とB型1種類を含む「3価ワクチン」
- 3種類すべてが昨シーズンから更新され、A香港型は「サブクレードK」に対応
- 高齢者向けの高用量ワクチンは発売が延期され、今シーズンの導入は見送り
ワクチンの最も大きな目的は、重症化を防ぐことです。国内の研究では、高齢者福祉施設に入所している65歳以上の方で、発病を34〜55%、死亡を82%減らす効果があったとされています。
効果が現れるまでに約2週間、持続は約5か月とされています。流行が早い今シーズンは、ワクチンが供給される時期になったら早めの接種が推奨されます。
13歳未満のお子さんは、原則として2〜4週間の間隔で2回接種します。65歳以上の方などは定期接種の対象となりますので、松戸市からのご案内もあわせてご確認ください。
今日からできる予防の基本
- 外出後や食事の前の手洗い(指先・指の間まで)
- せきやくしゃみが出るときのマスク着用(咳エチケット)
- 冷房を使っていても、こまめな換気
- 空気が乾燥する季節は、湿度50〜60%を目安に加湿
- 十分な睡眠とバランスのよい食事
残暑の時期は、冷房のために窓を閉め切りがちです。「エアコンをつけたまま、ときどき窓を開けて空気を入れ替える」ことが、この時期ならではの工夫です。
「かかったかも?」と思ったときの4ステップ
STEP1:症状と経過をメモする:熱が出た時刻、最高体温、周囲の流行状況(学級閉鎖など)を書き留めておくと、診察がスムーズです。
STEP2:受診前に予約や電話連絡する:ほかの患者さんとの接触を減らすため、事前に連絡するのが一般的です。当院では発熱外来の項目でweb予約も受け付けています。
STEP3:マスクを着けて受診する:発熱直後の検査では、ウイルスが少なく陰性になることがあります。医師は症状や経過とあわせて総合的に判断します。
STEP4:治療と療養:抗インフルエンザ薬は、発症から48時間以内に始めると効果が期待できるとされています。水分補給と休養を心がけ、ご家族とのタオルの共用は避けましょう。
学校や仕事を休む目安
学校保健安全法施行規則では、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまでが出席停止の期間と定められています。社会人は、勤務先の規定を確認するのが一般的です。

4. よくある質問(Q&A)
Q1. 昨年ワクチンを打ちました。今年も必要ですか?
A. 効果の持続は約5か月とされ、毎年の接種が推奨されています。
Q2. 一度かかれば、そのシーズンはもうかかりませんか?
A. そうとは限りません。A型とB型は別のウイルスで、昨シーズンも前半はA型、後半はB型が中心でした。かかった後の接種は、回復してから医師にご相談ください。
Q3. 新型コロナとの見分け方はありますか?
A. 症状だけで区別するのは難しいのが実情です。検査を含めて医師の診察を受けることが勧められます。
Q4. 血圧や糖尿病の薬を飲んでいても、ワクチンは受けられますか?
A. 一般的には接種が可能で、むしろ持病のある方は接種が勧められる対象です。日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、糖尿病のある方への予防接種が推奨されています。

5. まとめ
- 2026年のインフルエンザは8月に全国で流行入りし、例年より早いスタートです。当院でも2026年9月14日~ワクチン接種を開始しました。
- 持病のある方は、心臓や血糖への影響にも注意が必要です
- 今シーズンのワクチンは、流行中のウイルスに合わせて3種類すべてが更新されています
- 手洗い・換気・睡眠と、発熱時の「事前連絡→受診」を意識しましょう
正しく知り、早めに備えることが、ご自身と大切なご家族を守る第一歩になります。
丹野内科・循環器・糖尿病内科では、循環器・糖尿病の専門医による2名体制で、持病をお持ちの方の体調管理やワクチン接種のタイミングについてもご相談を承っています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
【参考文献・引用元】(2026年9月11日確認)
執筆者プロフィール

田邉弦
丹野内科・循環器・糖尿病内科 院長
- 日本内科学会 総合内科専門医・認定内科医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本心血管インターベンション治療学会 認定医
- 認知症サポート医
インタビュー記事はこちらからご覧ください。