狭心症とは

心筋には冠動脈と呼ばれる血管が酸素を含む血液を運びますが、この冠動脈が狭くなったり、一時的に詰まることで酸素が十分に供給されず、胸痛などの症状が引き起こされる状態を狭心症と呼びます。

主な発症原因は動脈硬化の進行によるものです。動脈硬化を進行させる要因としては、加齢や生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症 など)、さらには喫煙も関連しているとされています。発症メカニズムについてですが、まず冠動脈の内側に脂質が蓄積し、これがプラークを形成することで血流が悪化します。労作性狭心症は、体を動かした際に胸痛や胸部の圧迫感が生じ、発作はおおよそ5分程度続きますが、安静にすることで症状が軽減します。

また、形成されたプラークが破裂し血栓ができることで狭窄が悪化することがあり、これが不安定狭心症です。不安定狭心症では、安静時でも胸痛や胸部圧迫感が起こり、発作は数分から20分ほど続くことがあります。ちなみに、血栓によって冠動脈が完全に詰まってしまうと、心筋梗塞になります。不安定狭心症、心筋梗塞を合わせた病態を急性冠症候群と呼び緊急性の高い状態です。

これに加え、動脈硬化とは関係なく冠動脈が一時的にけいれんを引き起こし、心筋への血流が悪くなる特殊な狭心症もあります。これを冠痙縮性狭心症といいます。この場合、安静にしている夜間や早朝に胸部中心部が締め付けられるような痛みや圧迫感が現れることが多いとされています。

治療について

冠動脈の狭窄による胸部発作が起こった場合は、硝酸薬(ニトログリセリン など)を使用します。また、発作の予防として、抗血小板薬、硝酸薬、Ca拮抗薬、β遮断薬(冠痙縮性狭心症には使用しません)などが処方されます。さらに、冠動脈の狭窄が確認された場合には、狭くなった血管を広げるためのカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベーション:PCI)が行われることもあります。

そのほか、動脈硬化の進行を予防するためにスタチン系薬剤の投与や、生活習慣の改善を目的とした食事療法や運動療法が実施され、心筋梗塞への進行を防ぐ取り組みが行われます。