- 2026年4月27日
GL値(グリセミックロード)とは?血糖値を正しくコントロールするための新常識
こんにちは。丹野内科・循環器・糖尿病内科の田邉優希です。今回は少しマニアックな話題かもしれませんが、GL値(グリセミックロード)についての話題です。

「GI値は知っているけれど、GL値って何だろう?」 そんな疑問をお持ちの方は、多いのではないでしょうか。食後の血糖値の上がりやすさを示す指標として、GI値(グリセミックインデックス)はすでに広く知られています。しかし近年、糖尿病の予防・管理においてより実践的な指標として注目されているのが、GL値(グリセミックロード)です。
GL値を正しく理解することで、「何を食べるか」だけでなく「どのくらい食べるか」まで含めた、より詳細な血糖値コントロールが可能になります。
この記事では、糖尿病専門医の副院長がGL値の基礎から日常生活での活用法まで、わかりやすく解説します。
目次
- GI値とGL値の違い——なぜGL値の方が重要なのか
- GL値の計算方法——難しくない、シンプルな仕組み
- 代表的な食品のGL値一覧
- GL値を活かした食事の具体例
- 血糖値スパイクとGL値の深い関係
- よくある質問(Q&A)
- まとめ——GL値を日常の「食の羅針盤」に

1. GI値とGL値の違い——なぜGL値の方が重要なのか
GI値だけでは「片手落ち」な理由
GI値とは、ブドウ糖(グルコース)を100として、同量の炭水化物を含む食品が食後にどれだけ血糖値を上げるかを相対的に示した数値です。
一般的にGI値70以上は高GI食品、55以下は低GI食品とされています。
しかし、GI値にはひとつの大きな落とし穴があります。
たとえば、スイカはGI値が約72と高GI食品に分類されます。「スイカは血糖値を上げやすい食品だから食べてはいけない」と思ってしまいそうですが、実際はどうでしょうか?
スイカ100gに含まれる炭水化物量は約9g程度と非常に少なく、実際に食後血糖値に与える影響はそれほど大きくありません。GI値だけを見ると、スイカを不必要に避けてしまうという誤解が生まれやすいのです。
GL値(グリセミックロード)が解決する問題
GL値(グリセミックロード)は、このGI値の限界を補う指標です。
GL値は「食品のGI値」と「実際に摂取する炭水化物の量(グラム)」の両方を考慮した数値で、**食品が実際に食後血糖値に与える”総負荷量”**を示します。
平たく言えば、「血糖値をどれだけ上げるか」の質(GI値)と量(炭水化物量)を掛け合わせた、より実践的な指標です。医療の現場でも、GL値を用いた食事指導がより精度の高いアプローチとして推奨されつつあります。

2. GL値の計算方法——難しくない、シンプルな仕組み
計算式はたったひとつです。
GL値 = GI値 × 1食当たりの炭水化物量(g)÷ 100
実際に計算してみましょう
【例①:白米 150g(茶碗1杯)】
- 白米のGI値:約88
- 白米150gに含まれる炭水化物量:約55g
→ GL値 = 88 × 55 ÷ 100 = 約48.4
【例②:スイカ 200g(一般的な1切れ)】
- スイカのGI値:約72
- スイカ200gに含まれる炭水化物量:約18g
→ GL値 = 72 × 18 ÷ 100 = 約13.0
GI値だけ見るとスイカの方が「危険」に感じますが、GL値で比較すると白米1杯の影響がいかに大きいかがよくわかります。
GL値の評価基準
| GL値 | 分類 |
| 20以上 | 高GL(血糖値への影響が大きい) |
| 11〜19 | 中GL |
| 10以下 | 低GL(血糖値への影響が小さい) |
この基準はHarvard T.H. Chan School of Public Healthなどが提唱している目安とされており、臨床現場での食事指導に広く参照されています。

3. 代表的な食品のGL値一覧
以下は、日常的によく食べる食品のGL値の目安です(1食あたりの一般的な摂取量で計算)。
主食・穀類
| 食品 | 目安量 | GL値(概算) |
| 白米(ごはん) | 150g(茶碗1杯) | 約43〜48 |
| 玄米 | 150g | 約30〜35 |
| 食パン(白) | 60g(1枚) | 約22〜25 |
| そば(ゆで) | 200g | 約22〜26 |
| うどん(ゆで) | 200g | 約32〜38 |
| パスタ(ゆで) | 180g | 約26〜30 |
野菜・果物
| 食品 | 目安量 | GL値(概算) |
| スイカ | 200g | 約13 |
| バナナ | 1本(100g) | 約12〜14 |
| りんご | 1/2個(100g) | 約6〜8 |
| にんじん(ゆで) | 80g | 約2〜3 |
| ブロッコリー | 100g | 約1以下 |
白米のGL値の高さが際立っていることがわかります。一方、果物はGI値が高くても量が少なければGL値は低く抑えられるものが多いという特徴があります。

4. GL値を活かした食事の具体例
「同じ炭水化物でも選び方と量で変わる」
GL値の考え方を日常の食事に取り入れる際の、具体的なポイントをご紹介します。
① 主食の量を意識する
白米をいつもより50g減らすだけでもGL値は大きく下がります。茶碗の大きさを見直すのも一つの方法です。また、白米にもち麦や雑穀を混ぜることで、炭水化物の質を改善しGL値を下げる効果が期待できます。
② 食べる順番を工夫する(ベジファースト)
野菜や汁物→タンパク質→主食の順に食べることで、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があるとされています。GL値が低い食品から先に食べることで、全体の血糖負荷を抑えやすくなります。
③ 低GL食品と高GL食品を組み合わせる
たとえば白米(高GL)をメインにする場合、副菜にブロッコリーや豆腐(低GL)を組み合わせると、食事全体のGL値を下げることができます。
④ 間食の選び方
ケーキやせんべいなどの間食は意外とGL値が高いものが多いです。ナッツ類や少量のチーズなど、炭水化物が少ない食品を選ぶことで、血糖値への影響を抑えながら満足感を得やすくなります。

5. 血糖値スパイクとGL値の深い関係
「血糖値スパイク」とはなにか
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上昇し、その後急速に下がる現象を指します。この「急上昇・急降下」のパターンが続くと、血管や内臓への負担が蓄積し、将来的な糖尿病・動脈硬化・心血管疾患のリスクが高まることが知られています。
GL値が高い食事と血糖値スパイクの関係
GL値が高い食品・食事を摂ると、短時間に大量のブドウ糖が血液中に流れ込み、血糖値スパイクが起きやすくなります。
一方、低GL食品を中心とした食事では、消化・吸収がゆっくり進むため血糖値の上昇が緩やかになり、膵臓への過度な負担を減らすことができます。
すでに糖尿病の診断を受けている方はもちろんのこと、「隠れ高血糖」「糖尿病予備群」の方にも、GL値を意識した食事は有効なアプローチとして推奨されています。
血糖値スパイクに関しての詳細は以前のブログ「血糖値スパイクとは?原因・症状・予防法を内科医が徹底解説」をご覧ください。
当院では当日HbA1c測定が可能です。「最近食後に眠くなる」「体重が増えてきた」などの気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

6. よくある質問(Q&A)
Q1. GI値とGL値、どちらを参考にすべきですか?
A. 実際の食生活への応用という点では、GL値の方がより実践的です。GI値は食品の「質」しか反映しませんが、GL値は「質×量」で判断できるため、現実の食事に即した血糖コントロールに役立ちます。ただし、両者を組み合わせて参考にすることが最も望ましいとされています。
Q2. 低GL食品だけを食べれば糖尿病は防げますか?
A. 食事だけで糖尿病をすべて予防できるとは言い切れませんが、低GL食品を中心とした食事パターンは、血糖値の安定や体重管理に貢献することが多くの研究で示されています。食事に加え、適度な運動・睡眠・ストレス管理も重要です。
Q3. 糖尿病と診断されている場合、GL値の目標はありますか?
A. 一日の食事全体のGL値の合計を100以下に抑えることを目標とする考え方があります。ただし、個々の病態や治療方針によって異なりますので、必ず担当医にご相談ください。
Q4. GL値が高い食品はすべて避けるべきですか?
A. 「高GL食品は絶対にNG」ということではありません。食べる量を調整したり、低GL食品と組み合わせたりすることで、食事全体のGL値をコントロールすることが重要です。食事制限を厳しくしすぎることで、かえってストレスや栄養不足につながる場合もあるため、バランスを大切にすることが推奨されます。

7. まとめ——GL値を日常の「食の羅針盤」に
GL値(グリセミックロード)は、GI値だけでは見えなかった「実際に血糖値に与える総合的な影響」を数値で示してくれる、より実践的な指標です。
ポイントを整理します。
- GL値 = GI値 × 一食あたりの炭水化物量(g)÷ 100
- 20以上が高GL、10以下が低GL
- 白米1杯のGL値は非常に高く、量の管理が重要
- 低GL食品を中心とした食事は血糖値スパイクの予防に有効
- 「食べてはいけない食品」ではなく「量と組み合わせ」の工夫が大切
「何を食べるか」だけでなく「どのくらい食べるか」を意識することで、血糖値コントロールはぐっと現実的になります。
毎日の食事に少しの工夫を加えることが、将来の糖尿病・心血管疾患の予防につながります。「最近血糖値が気になる」「食事の改善方法について相談したい」という方は、ぜひ一度当院へお越しください。
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執筆者プロフィール

丹野内科・循環器・糖尿病内科 副院長 田邉 優希
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本医師会 認定産業医